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"悩む"って、なんて有意義なんだ!ここは今から倫理です 感想総括

『悩みは笑って吹き飛ばす』
『一晩寝たら悩みなんて忘れちゃう。』

このような言葉、よく聞きますよね。

実際に私の周りでも、沢山聞く機会がありました。

確かに
悩む時間が勿体ないという概念は、一理あります。

自ら悩みを捨て去るスキルがあれば、
人はもっと上手に、もっと有意義に、生きていく事ができるでしょう。

でもこれは、万能ではありません。

"悩むより行動!"
という言葉は、ある人には刺激になっても、
別のある人には、凶器となりうるのです。

私は、後者です。

よくある自己啓発系の言葉の数々は
考え過ぎる自分は情けない、こんなことで無駄な時間を費やすなんて恥ずかしい、分かってもらえないだろうから誰にも言いたくない、、、
このように、悩む事への罪悪感や劣等感を増幅し、必要以上に人を孤独にさせ、苦しめてしまう怖さがあるのです。

この世に倫理や哲学という学問が存在するのは、それだけ多くの先人達が悩み、一生をかけて正解を求め、苦しんだからなのでしょう。
時代や国を問わず、詩や小説、音楽といった娯楽が人々を癒し続けるのも、同じ理由でしょう。


人間は、悩むのが当たり前なのです。
そして
悩み考える事は、本来とても素晴らしい行為なのです。

高柳先生の授業を通して、『悩むこと』を、生まれて初めて肯定的に捉えることができました。

自分が狭い世界で感じてきた葛藤は、実は世界中に渦巻いているのです。
善悪の認識や、個人主義と集団主義の境界が曖昧なために生じるいじめ。
身近な学校でいじめ問題が解決できない事は、世界で戦争や差別、虐殺を無くすことができない事と、同じ理由かもしれません。

とはいえ、考えても、たいてい正解は見つけられません。

ただ、
考える事、想像する事は、世界を広げます。
そして、その思考について誰かと対話する事により、他者と、世界と、繋がることができるのです。
世界中の人間が、自分の事、そして相手の事を考え、対話し続ければ、いつしか多くの葛藤を乗り越える日が、来るかもしれません。

全8話におけるテーマ
①嫌われたくなくて、断れなかった事はあるか?
②暇と多忙、どっちが幸せか?
③見た目で判断された事、した事はあるか?
④『これって本当に悪い?』と思う事はあるか?
⑤どうやって心を癒しているか?
⑥勉強するのは何のためか?
⑦『ひとりで』と『みんなで』どっちが好きか?

どれも身近でシンプルなテーマでした。
しかし、真面目に話し始めるととても深く、各々意見が違い、相手の心を学べて面白いです。

家族などで議論してみてください。

このテーマを元に、作品の中では

男性に愛されるにはエロしかないと思い込み、嫌われたくなくて自分の意に反し奔放に生きる子。
誰にも拘束されない自由な日々をどう過ごして良いのか分からず、見えない不安に押し潰される子。
大好きな人に頼まれた事は善だと思い込み、小さな違和感に目を瞑り続け、気がつけば犯罪に手を染めてしまう子。
学校にも家庭にもリフレッシュできる場所がなく、リストカットをする事で自分を癒す子。
母親に楽をさせてあげたいと言う目的のためだけに勉強に励み、自分の夢が分からない子。
みんな仲良しという同調圧力に違和感を感じ、突如グループチャットを抜け、いじめられてしまう子。また嫌悪感があっても抜けられず、傍観者となる子。

上記のような悩みを抱えた生徒達が描かれました。

等身大の悩みがどれもリアルで、似たような悩みを経験した方、沢山いるのではないでしょうか。

日々悩み、考え、そして、誰かと意見を交わすこと。

それが実際、彼らの救いになりました。

自分は偶然にも、
人生の節々でゆっくり考える時間があり、本音を話せる友や家族がいたので、なんだかんだ真っ直ぐと生きてくることができました。

1人では、きっと頑張れなかったかもしれません。

これからを生きる若者達。

みんな平等に、悩む時間を肯定され、素直に話し合える誰か(家族や友達、恋人)に出会えるといいなぁと思います。

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