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大嫌いな春。

2020年になってすぐ。
私は、店長に真夜中に連絡し、大事な話があると伝えた。
特になんの話かは、その連絡の時には何も伝えなかった。
でも、店長歴も長い人なので、何か察するものがあったのだろう。
何も言わず、了解の旨の返信だけもらった。

次の日、私は休みの日に職場に行った。
店長は少し遅れて私のいる席まで来てくれた。
店長に単刀直入に「退職したいです」と伝えた。
あんまり緊張しなかった。
もう何度目になるかわからない退職を伝える時だ。
今回は退職する理由について書き留めて置こうと思う。

今回の理由は主に「社員になれないから」というシンプルなものだ。
正式に言えば私はもう少し頑張ればなれたのかもしれない。
でも心が完全に折れてしまったのだ。

私は去年の春、ちょうど今頃社員登用試験の準備に追われていた。
間違いなく、人生で一番この試験にかけていたし、人生かけていたと胸を張って言えるだろう。

結果は残念だった。
それは上司から伝えられた。
「半年後に受験できるよう頑張ろう」
その言葉を信じ、私は自分の悲しんで泣きわめく心を自分の手で殺し、一生懸命仕事に打ち込んだ。
自分の体や心、人生を犠牲にして。

だけど結局「その時」は1年経った今も訪れなかった。
毎月毎月「今月こそは受けようって言ってもらえるかな」と過ごすことにもう疲れてしまった。
ここはスターバックスのちょっとよく理解できないところなのだが、私が落ちた理由が「会社のミッションを感じられないから」という自分で測れないもので落ちた。
自分で測れないもので落ちたのだから、努力のしかたも全くわからない。
その中でもこれはというもので、自分は努力してきたつもりだった。
思いついたものはなんでもやった。
でも、その努力は届かなかった。

そのうち、私は職場で煙たがられるようになるのを肌で感じた。
私が心を殺して仕事をしていたのが裏目に出てしまったのか、私に嫌われていると感じる人が出てきてしまったようだ。
ここで私の心がパキッとおれる音を聞いた。
こんなに自分の人生かけて取り組んでいるのに、何も伝わらないなんて。

話は変わるがそもそも私は今の会社のミッションに心から賛同しているわけではなかった。
私がスターバックスにいる理由は「多様性を受け入れる」という文化が大好きだったからだ。
人生にことごとく失敗してきた私でも、ここなら私を受け入れてくれる。
そう感じていたし、その文化が息づいていた。

それが最近ミッションの文言が変わり、その文章がなくなってしまった。
そんな私が「ミッションを感じられない」、それは当然だ。
なぜなら、ミッションに心から感動できないからだ。
そんな私が、今度は社員としてミッションを伝えていく立場になっていくとはとても考えられなかった。

私がここにいる理由。
もう一度スターバックスに戻った理由。
それは社員になって、自分の成長(キャリア)を伸ばしていきたかったからだ。

もう気づけば、年齢は31。
子供を産むのにもいつの間にか適齢期に来てしまった。
子供を取るか仕事を取るか。
今の私にその選択はあまりにも容易だった。

本来は2末で退職したかったが、学生の卒業と退職者が続出している件で、3末まで残って欲しいと言われた。
私はその時に次の仕事も決まっていなかったので、出勤日数を減らすことを条件に了承した。

春は嫌いだった。
みんな新しい世界に飛び出していくのに、私はその場(スタバ)に残ったままで何も成長できていない気がして。

私の最終出勤日は3月31日に決めた。
なんとなくキリがいいので。
4月から新しい職場に行くことも決まっている。
やっと私も新しい職場へと旅立てそうだ。

2020年の春。
私はスターバックスを卒業します。

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