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2020年はベートーヴェンイヤーだから、彼の「珍曲」を聴こうじゃないか【音学note】

こんにちは、青竹です。2020年はベートーヴェンの生誕250周年!各地でベートーヴェンが演奏される事間違い無し。というわけで、「よし、ベートーヴェンの事特集しちゃうぞ!」と思ったんですが、ちょ、待てよ(キムタク風)と。ベートーヴェンの事を特集している記事は他にも沢山あるし、もうみんな知ってるんじゃない?むしろベートーヴェンにもっともっと興味を持ってもらえるような面白曲を特集してみない?とまあ、僕の中のリトルアオタケが言っていたので、そうすることにしました。もしベートーヴェンの事を真面目に知りたい方がいたらコメントしてください。ちゃんと書きます。別に書きたくないとかじゃないからね!さ、とっとと行きましょ。

1.「《ロンド・ア・カプリッチョ ト長調》」Op.129 「失くした小銭への怒り」

一曲目は、クラシック好きには有名な「失くした小銭への怒り」です。この副題、実はベートーヴェンが付けた物ではなく、第三者がベートーヴェンの自筆譜に書き込んだ《奇想曲の中へぶちまけた、なくした小銭への怒り》という文章が有名になったもの。ベートーヴェンからしたら、勝手に訳わからん副題を付けられてたまったもんじゃないですね。
作品番号は比較的後ろですが、これは初期に作曲されたこの作品がベートーヴェンの死後に発見されたため。とっても華やかで即興的な楽しい作品です。


2.「2つのオブリガード眼鏡付きの二重奏曲」WoO.32

二曲目はちゃんとベートーヴェン自身が命名した「2つのオブリガード眼鏡付きの二重奏曲」。いやオブリガード眼鏡ってなに?
この作品はベートーヴェンの友人のビオラ奏者とチェロ奏者のために作曲されたもの。実はこの友人二人が眼鏡を掛けていたために、ベートーヴェンはこんな題名にしたのでした。こんな妙ちきりんな題名なのに奏者にとってめちゃくちゃ難しい為か、あまり演奏機会は多くありません。オブリガートとは音楽用語で「助奏」という意味で楽譜に記譜された旋律や修飾を意味していますが、この曲ではイタリア語の「固定の」「必須の」の意で使われています。
ベートーヴェンはこの作品に対して“Duetto mit zwei obligaten Augengläsern"(奏者は眼鏡が必須)と記しています。


3.「笛時計のための五つの小品」WoO.33

笛時計って知ってますか?僕も今回初めて知りました。笛時計というのは自動演奏オルガン付き時計(Flotenuhr)というもの。この装置の飾り棚にはろう人形、石膏、ブロンズ像、象牙細工等の美術品が飾られ、アートキャビネットとしても使用されていたようです。ベートヴェンの他にもハイドンやモーツァルトがこの装置のための作品を作曲しています。


4.「新年おめでとう」WoO.165
「おめでとう、新年おめでとう」WoO.176

「新年おめでとう」という作品、ベートーヴェンは二つも書いてます。一曲目は1815年に書かれた「新年おめでとう」、もう一つは1819年に書かれた「おめでとう、新年おめでとう」。どちらも「カノン」という形式で書かれた作品です。「カノン」とは簡単に言えば旋律が時間をずらしていくつかの声部に分かれて出てくる曲。パッヘルベル作曲の「カノン」やごくごく簡単なものだと「カエルの歌」などがカノンの形式で書かれています。


5.「デブ礼賛」WoO.100

今だったら炎上しかねない題名のこの作品。この作品が書かれた経緯には、ベートーヴェンの悪友イグナーツ・シュパンツィヒという悪友が関係しています。シュパンツィヒはオーストリアのヴァイオリニストでラズモフスキー伯爵という人の私設弦楽四重奏団も率いていました。この弦楽四重奏団はベートーヴェンの作品も多く初演していて、「プロ」としては初めての弦楽四重奏団だったとも言われています。

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(シュパンツィヒ。心なしかふてぶてしく見える。:画像引用Wikipedia)

若い頃はハンサムだった(と言われている)シュパンツィヒですが、だんだんとお腹周りにお肉がついていきます。そんな姿を見て面白がったベートーヴェンは思わず「デブ礼賛」なんて曲を書き上げて後世に残してしまいました。そんなシュパンツィヒ、太った影響で指まで太くなり最終的にヴァイオリンの音程が取れなくなってしまいました。

まとめ

いかがでしたでしょうか?しかめっ面のベートーヴェンですが、とっても冗談好きの一面もありました。ベートーヴェンの音楽はもちろん、人間性も好きになって頂けたら嬉しいです。次回はインタビュー記事を予定しています。そちらもお楽しみに!

コロンスタジオ&ムジカマニアライティング部
ライター: 青竹(https://twitter.com/BWV_1080


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