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ひとくち日記:少女をまねて髪を染めた

久しぶりに髪を染めた。

ついでに髪も切ったので、鬱蒼と生い茂った雑草が一掃されたような清々しさに今日は気持ちが晴れ上がっている。

清々しくなったヘアスタイルと、久々に黒髪一色ではなくなった髪色を鏡で見ながら、初めて髪を染めた時のことを思い出していた。

初めて髪を染めたきっかけは好きだった人に半笑いで「俺に告白する前に自分磨きしろよ。」と振られた後のことだった。(あと、その当時推してたキャラと同じ髪色にしたかったのもある。)

「失恋によって髪を染める」とは、何処かありきたりな儀式だが、そこには「美しく輝くダイヤかのように自分を磨いてやろう」という強い決意表明の意思と「髪を染めることで自分が目に見えて更新されていくだろう姿」に期待する心があった。

そして、鏡の前で自分の黒髪が見たことのないゴールドに移り変わった時のときめきは、もはや「失恋」や半笑いの男の存在なんてどうでもよくなるほどのエネルギーを持って私の元にやって来た。

キラキラと世界が瞬き始めたような高揚感に、新しいオモチャをプレゼントされた子供のようにはしゃいだ。

それからは髪を痛めつけつつもしばしば髪を染めるお遊びに興じて、楽しい時を過ごした。
私もやろうと思えば移ろい変われるのだ、という自信が芽生えたのだ。

お人形遊びをする子供のようにはしゃぎまわった後、暫くしてから諸事情あって黒髪に戻した。

最初は「以前の自分への回帰」になるのではと不安だったが、「え、黒髪の私もめっちゃ可愛いじゃねえかよ」と思えるほどのハイパー高い自己肯定感を1年間で蓄えたことで意外に平気な気持ちで黒髪で過ごせていた。

だが、今日再び強い決意表明のために髪を染めた。
失恋したわけでも無いけど、一旦自分が不安で気になって仕方ない退路を潰し、「他人とか関係なく、今から自分が行きたい場所はどこか」を改めて意識するために髪を染めようと思った。

一度黒髪に戻してしまったから中々色が抜けなかったが、黒髪の合間に斑に光る茶色が獣のようで気に入った。またあの時のときめきを思い出した。

「ああ、野望のままに生きていけるな。私なら。」と唸るような業火が再び心に灯ったような感じがして、鏡の前に立ってはニヤついている。

私にとって、髪を染めるとはある種の宣言で、自分の中でざわめく色んな世迷い言に「クソクラエです。」と突きつけてやるためにやっている。

心の中に蔓延する世迷い言を振りきって、自分を遊び尽くたい。自分の世界は自分で絶対面白くしていけるんだと信じて、泥臭くて青臭せえまま走り続けたい。

自分が心から愛したい自分を作り続けて、幸せだったと人生終わる日までこの世を遊び倒してやる。

今日はそんな宣言日である。

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