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「あとひとふで」という狂気

あとひとふで

絵を描いていると時間がクソほど吹き飛ぶ。

人生とかいうクソ長くかんじるような短いような意味不明な未知の時間の中でそれこそクソをひねり出すように(クソばっかりでごめんね)アイデアを出し、自分が美しいと思う色を塗り、気に入らないところを直し続け、自分の筆の荒さに苛立ち、未熟さを嘆き、それでも夢中で描き続けている。

あと一筆描いたらおわり、これを描いたら、これを描き直したら、塗り終わったら終わりにしよう。なんて思っていても、結局満足するまで終わりが来ない。

そういうのを繰り返している時、「私は死ぬまで絵を描き続けるんだろうな。」と感じる。

他者の描く美しさへのコンプレックスで筆を折ったこともあって、「私は諦めた」と言い訳も何度もした。

けれど結局やめていない。コンプレックスなんて、他人との落差なんて超えていた。むしろ、へし折れたままの筆で描くことを決めた。

好き、とかいう次元すら超えたそれはもはやコミュニケーション、感情表現、言葉にならない事は全部絵に描いた。時間を吹き飛ばし、一筆の狂気を追いかけ続ける。死ぬまで。死ぬまでだ。死んでも追うかもしれないけどな。

私の言葉、声にならない声は「あと一筆」にあると信じているからやめられないし、やめたくなかった。

だから今日も描く、あと一筆と悪あがきをする、命も削る。死んでもいい、死なせてくれと思いながら描き続ける。

死なば諸共、折れた筆と心中するその日まで。

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