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富士登山の備忘録

私は富士山が好きだ。
しかし富士山は見るのと登るのとでは全く景色が違う。

こういう言い方をすると、何度も登山してるように聞こえるかもしれないが、気まぐれな私は6~10年周期でしか登ったことがない。

実は昨年(2022年8月)も3度目の富士登山に挑戦したのだが、記録を残そうと思いつつ、1年間放置してしまったので忘備録として記しておこうと思う。

その前に過去2度の登山も振り返ると、初めて登山したのは20代。
山ガールというわけではなかったが、いつもお世話になっている先輩たちが30代の記念に登山するということで私のことも誘ってくれた。
普段運動を全くしていない私だったが、バスツアーでガイドつきということもあり挑戦することにした。
ちなみにコースは吉田ルート。

登山リュックやトレッキングポールなどは知人に借り、何とか道具も揃えて初登山した感想は、、、

とにかく辛ーーーーーーい!!!!!!!
それ一択。

特に下りでは足がバカみたいに笑い、あまりの辛さに逆切れしながら転げ落ちるように下山したことを覚えている。
そして「日本一」というハチマキを頭に巻いた外国人も、私と同じように「NO!」と逆切れしながら下山している姿を見て、何故か元気をもらったことも良き思い出だ。

完全に運動不足で臨んだ初登山だったが、なんとか山頂まで登り、高山病にもかからず無事下山もできた。

では何故、こんな辛いと思った富士登山を2度目も挑戦しようと思ったのかというと、一つ悟ったことがあったからだ。

それは「辛い時こそ人間の本性がでる」ということだ。

実際一緒に登山した先輩たちは、普段からとっても優しい人たちなのだが、自分が高山病になりかけても常に私のことを気遣って優しく声をかけてくれた。
そして同じツアーに参加していた見ず知らずの人にも薬をあげたり、自分が辛い時こそ人を励ましている姿を目の当たりにしたのだ。

それに比べて私はというと、辛い時には自分のことで精一杯で逆切れした記憶しかない。

そんな反省も踏まえ、次に登山する時は結婚を考えた人と一緒に登山して、相手の本性を暴き出してやろうと思ったのだ。(自分のことは棚にあげて)

そして2度目の登山のチャンスは約6年後に訪れた。
しかし、残念ながら結婚相手と一緒に登山したのは結婚前ではなく、結婚後だった。

彼は富士登山は初めてだったが、私と違って準備を怠らない人だった。
富士登山の前に何度か近隣の山に怠け者の私を連れて行ってくれて、道具も入念に揃えた。

そして迎えた富士登山本番。
1度目と同じく吉田ルートを登山するバスツアーに参加した。
一緒にツアーに参加したメンバーは彼と彼の後輩の3人。

そして登りはじめて数時間後、私の体力がかなり消耗してきた頃、その時は訪れた。

一度目のデジャブが⁉

ガイドの人について縦に一列になっての登山だったが、疲れのピークにあった私のペースは段々と落ちていった。
気付くと列の前方にいたのが、一番後方まで下がり皆より少し遅れをとってしまったのだ。
それに気づいた旦那は前方から私の元にやってきて、「何やってんだ。急がないとみんなに迷惑かけるだろ!」と言ってきたのだ。

カチーン!!

「なんのために初心者向けのツアーに参加してんだよ!少し列から遅れただけでしょ!!」

責任感の強い彼は、遅れてツアーの人たちに迷惑をかけてはいけないとの思いで発した一言だったのかもしれないが、疲労の極度にあった私は、またもや逆切れをしてしまったのだ。

あ~やっぱり結婚前に登山しとくんだった。
しかし怒りが逆にパワーとなり、こうして2度目の登山も無事に登頂に成功した。

ちなみにこれが原因ではないが、富士登山から4年後に彼とは離婚している。(汗)

こうして2度の富士登山を経て、私は己の小ささと向き合った。
それから10年後、私は久しぶりに富士山近郊に行った。
富士急でやったBiSHのライブに参戦したのだ。

久しぶりに間近で見る富士山はでかかった。
そして富士山を見ながら思った。
久しぶりに富士山に登りたいな。

こうして3度目の富士登山が決まった。
今回は同じ年代の友達二人を誘った。
一人は普段からゴルフをやっているので足腰は鍛えている。
そして富士登山も経験者。
もう一人の友達は登山経験は、中学生の頃に学校行事で登った金時山のみ。
しかし週1くらいはジムに行って体を鍛えている。

私→相変わらず運動は何もしていない。

今回もガイド付きのバスツアー(吉田ルート)に参加することにした。
しかし、誘っといて私は段々不安になってきた。
私が一番体力ないし、友達に迷惑かけたらどうしよう。
また逆切れして友達に怒ってしまったらどうしよう。
こうした不安とともに、あれから10年たって自分は何か変われたのかを確認したい気持ちも少しあった。

努力の嫌いな私は結局富士登山前に、近所の低山でハイキングしかできなかった。

しかし今回は秘策として、一番気温の高い日中にマスクをして歩くという謎の暑さ対策の練習を重ねた。

そしてトレッキングポールの使い方をYouTubeで研究して、体に負担をかけない歩き方の練習をした。
気付くとこの10年で私はさらにずる賢い人間になっていた。

そして2022年8月19、20日で富士登山をしてきた。

まずは5合目で腹ごしらえ。

醤油ラーメン


なんといっても今回の登山は天候に恵まれた。
5合目から8合目の山小屋までほとんど曇りだったので、暑さで無駄に体力を奪われることを免れた。

青木ケ原樹海

8合目の山小屋は「白雲荘」に宿泊。
山小屋で食べるカレーは五臓六腑に染みわたった。

白雲荘のハンバーグカレー

夕方6時過ぎより晩御飯を食べて、すぐにベッドで休憩。

噂では聞いていたが10年前に比べ、山小屋はめちゃめちゃきれいに進化していた。
たしか、10年前は横に寝返りを打つと隣のおじさんの足が目の前にあった。
しかし今回はコロナ禍の影響で一人一人の寝床が区切られているのが良かった。

さすがに8合目ともなると風も強く、寒いのでフリースを着て毛布を被りマスクをして寝た。

しかしそれが良くなかったのか、汗を放出出来ずに、寝てる間に軽い高山病になってしまった。
午前0時過ぎに目が覚めたときには、身体中汗でびっしょりになっており頭痛がした。

これはマズイと思い、常備していたカロナールを飲むと自然とまた寝たようで、午前2時の集合時間前に起きた時は頭痛も良くなっていて安心した。

高山病は体調にかなり影響してくるから注意が必要だ。

同じ部屋で寝てた人の中でも山小屋で休憩中に高山病にかかってしまい、頂上までの登頂を断念している人たちが何人かいた。

ちなみに友達のスマホ万歩計によると一日目(5合目~8合目)で17,482歩。
二日目(8合目~頂上→下山)で28,452歩(19,1K)歩いた記録になっていた。

頑張って歩いたなー。

そして午前2時過ぎ、御来光に向けて再び登り始めた。

途中かなりの強風でヤバイ時もあったが、雨に降られることもなく、無事に頂上でキレイな御来光を拝めた。

御来光

何度見ても頂上での御来光は感動する。
頂上ではかなり寒いので途中甘酒を飲んで身体を暖めた。
友達はカップラーメンを食べていたが、とても美味しそうだった。

そしていよいよ下山。
なんと私はここまで一度も怒ってない。
途中キツイ時は何度もあったが、怒りの感情は全く湧かず、友達と励ましあいながら登った。
これは成長なのか?
それとも帰りに何か事件が待っているのか!?
そんなことを思い少しヒビリながら下山した。

下山しはじめてすぐ、友達が足の痛みを訴えた。
聞くと靴があわずに上りでも足を庇いながら登っていたそう。
下りは急斜面をひたすら降りて行くので、足にもかなり負担がかかってしまったらしい。
普段ゴルフで足腰を鍛えている友達だったので、トレッキングポールは持ってきていなかった。
そのため杖代わりになればと私のトレッキングポールを1本貸してあげた。

友達も足が痛い中、良く頑張った!
先日久しぶりにその友達と会って聞いたのだが、下山後は足の爪が剥がれて、爪が生え変わったらしい。(痛)

下りは途中までガイドさんが道案内をしてくれたが、結構早い段階で自由下山となり、自分達のペースで下山することができた。

途中朝食休憩で、山小屋でもらったバランスアップのような栄養補助食品を食べてパワーアップした。

しかしやっぱり私は下りが苦手だ。
特に吉田ルートの下りは景色に変化もないため、降りても降りても下った気がしない。

ちゃんと下山できるのだろうかといつも心配になるのだが、一歩一歩前に足を進めるしか方法はないのだ。

しかしその積み重ねで気付けば下山してるという過程は実は結構好きだったりする。
仕事やプライベートでもなかなかゴールが見えず果てしなく根気が必要な時、何度か富士登山の下山を思い出したことがあった。

この感覚を下山しながら久しぶりに思い出した。
下りでは滑りこけて、若干切れかかった時は何度かあったが、今回の富士登山では逆ギレすることもなく無事に下山することができた。

すごい成長!!

そして年齢的には一番キツイはずなのに、今回の登山が体力的にも一番楽だった。(筋肉痛も一番軽かった)

一日目がずっと曇りだったというのも大きかったと思うが、何気にトレッキングポールを上手く使いこなせたのが良かったのか?

下山した直後は、次登るのはまた10年後くらいでいいなんて思っていたのに、今年富士登山している人たちをニュースなどで見ると、不思議とまた登りたいななんて思えてきた。

今年は無理かもしれないけど、次に登るときは吉田ルート以外で登ってみようかと思う。

まずは来月神奈川の大山あたりでも登ってみようかなー。








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