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「日々是作文」 山本文緒 著を読んで

 これは、1994年から2004年までの雑誌などに書かれたエッセイをまとめた本で、多分私は再読のクチ。
 今回久しぶりに読んでみて、とても自分に正直な人で、そのぶん色々大変だったろうと。

 私は、数年前に大病を患った時、今思うと病後うつになった。
あまり自覚はなかったのだが、数年後に通院時に主治医の電子カルテに書いてあったのをちらりと見て、そうだったかと言う感じ。
 術後に、病巣はうまくとれたものの、元の身体とは違ってしまい、なかなかそれが受け入れられなかった。

 そのうち慣れると軽く言われて、今になると確かにそうなんだけど、すぐに割り切れないのが人間。発見が遅ければ余命三年とも言われていたから、早期にうまく取りきれて良かったとは思うものの、違和感はしばらく拭いきれず、悶々としていた日々だった。人に会うのもおっくうで、ドッグスポーツやら訓練がらみの活動がなければ、もっと立ち直りは遅かったと思う。

 エッセイを読むと、直木賞受賞前から心療内科に通っていたみたい。直木賞が引き金とは言えないし、ほしくて目指していた賞だったというのも再認識。

 老後の話とか出ると、58歳で亡くなったんだと知ってる今の私には、結構しんどいところもあった。
でもいっぱい悩んで、いっぱいだらだらして、いっぱい遊んでという姿に、ちょっとほっとしたり。

 やっぱりエッセイ面白かった。私小説ではないけれど、残してくれた作品を再読する手引きになりそう。