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夜空をみるのが楽しくなるゲームとか小説とか

はじめに

おはよう、熊のころくまです。
暑くてしゃーない今日この頃ですが、最近のぼくは夜空を眺めるのにハマっています。
というのも近頃宇宙に関連する作品に触れることが多く、原作厨のぼくは宇宙を少しでも身近に感じるために夜の空を望んでいるのです。

毎日見れるからマジで夜空はいいよ、晴れてたら綺麗に月や星が見えて楽しいし、曇っててもそれはそれで自然って感じがして悪くない。

自由に宇宙を冒険するには生まれるのが少し早すぎたからこそ、ぼくたちは夜空に物語を見出せるし、その先に本当にあるかもしれない物語を重ねてみれば、遠くの星々のひとつひとつが生きているのを感じられて日常のスケールが大きくなった気がします。

ということで今日は最近夜空を眺めるモチベーションになっている作品たちを紹介しようと思います。


1.星を継ぐもの(小説)

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ここで新しく言及することすらはばかられる往年の傑作だが、間違いなくここ数年の自分が宇宙にロマンを感じるようになったきっかけなのでどうしても最初に紹介したい。

月面で発見された、真紅の宇宙服をまとった死体。綿密な調査の結果、驚くべき事実が判明する。死体はどの月面基地の所属でもないだけでなく、この世界の住人でさえなかった。彼は5万年前に死亡していたのだ! いったい彼の正体は? 調査チームに招集されたハント博士は壮大なる謎に挑む。

東京創元社商品ページより

あらすじだけでワクワクしすぎてしまう。
高校生の時分、SF小説を読むことに没頭していたのだが、一番印象に残っている小説がこれだと思う。
一体の死体の出自をめぐって繰り広げられる謎が謎を呼ぶミステリー風味の古典的SF作品。
これまで考えられてきた人類の起源すら信じられなくなるような大きな謎を前に全世界の研究者が一致団結し、太陽系を股にかけた調査を行う話。
謎とそれが解明されていく過程がとても楽しくて読む手が止まらないし、ストーリーと筆者のメッセージがうまく絡み合っているのが古典的SFの傑作たらしめていると思う。
また、情景描写が素晴らしく、まだ誰も見たことのない宇宙の壮大な景色が頭の中で容易に展開できるのが個人的おすすめポイント。映像美とはまた違う小説ならではの表現で書かれる本作の宇宙を映像化することはほとんど不可能に近いのではないかとすら感じている。
これ以上は何を話してもネタバレになるし野暮だと思うのであまり語らないでおくが、300ページ弱の最高の読書体験ができることだけは約束できる。
この本を読んだ後に眺めてみると、月と太陽系の星々に存在しないノスタルジーというか、もう少しで手が届くのにまだここから見ることしかできないもどかしさを覚えるのがとても良い。

2.スペース金融道(小説)

https://www.kawade.co.jp/img/cover_l/9784309420882.jpg

「宇宙だろうと深海だろうと、核融合炉内だろうと零下190度の惑星だろうと取り立てる」植民惑星・二番街の金融会社に勤務する「ぼく」は、凄腕の上司とともに今日も債権回収へ。超絶SF連作集。

河出書房新社商品ページより

宇宙を股にかける借金取りの話。
借金取りである語り手と「普段はいい加減で最悪なのに、たまに大得点をあげて挽回する」やな上司、ユーセフの掛け合いが面白くて終始笑いながら読める。
宇宙へ進出し、アンドロイドの社会進出など様々な出来事を経ても変わらない人類社会の模様を一人の借金取りの視点からシニカルかつ壮大な筆致で描写しているのが読んでいてとても楽しい。
また、ただのコメディ作品ではなく、高度に技術が発達した世界だからこそ起こる社会問題が大きな宇宙ならではの現象をまじえて語られていて興味深かった。
あくまでも人間などのドラマを描いている作品だが、その中で宇宙の壮大さが感じられるのがかなりおすすめポイント。
あと上司のユーセフが好きすぎる。

3.三体(小説)


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文化大革命で父を惨殺され、人類に絶望した科学者・葉文潔。彼女がスカウトされた軍事基地では、人類の運命を左右するプロジェクトが進行していた。数十年後、科学者の連続自殺事件を追って謎の学術団体に潜入したナノテク素材の研究者・汪淼を、怪現象〈ゴースト・カウントダウン〉が襲う!そして、汪淼が入り込むVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?

三体(文庫)より

めちゃくちゃ有名な作品。
かなり長く人気のある作品だが、最近文庫化されたりNetflixでドラマ化されたりしたのでまた話題にあがるようになってきた気がする。
あらすじだけ読んでもなんのこっちゃわからないと思うが、頼むからそのまま何も知らない状態で読んでほしい。
どんな謎に直面しているのかすらわからない状態で読み進め、様々なピースが揃っていく様が読んでいて最高に楽しかった。
あと筆者の表現がとても好き。比喩を多用した情景描写がとても美しくてわかりやすく、知らない場所やものが出てきても違和感なく想像できたのがこれ程長い作品を読破できた大きな要因だったように思う。物語そのものと同じくらい文章に引き込まれていた。
三体は翻訳者の方々もいい仕事をしていると思う。全体的に平易な文章が用いられているので、難解な海外SF小説を読んでいる時の苦しさが感じられなかった。
ジェンダーに関する描写など現代の価値観に照らすと少し違和感のある点もあり、手放しで万人に勧められるものではないようにも思うが、壮大な世界観のすべてを小説という媒体で妥協なく表現している点は本当に素晴らしい。
三体を読み終えると、宇宙が恐ろしく寒く、寂しくて、前よりも一層身近なものに感じられた。

4.サイバーパンク:エッジランナーズ(アニメ)

サイバーパンク:エッジランナーズ(以下エッジランナーズ)はサイバーパンク2077というゲームを原作としたアニメ。netflixで公開されている。

現実とは違う歴史を辿った近未来のアメリカにある都市、ナイトシティが舞台。
とある事情から、ナイトシティの傭兵になった少年デイビッドが仲間と共に街の伝説になるまでのお話。
タイトルの通り世界観はめちゃくちゃサイバーパンクしてる。
とりあえずYouTubeで公開されているトレーラーと本編のワンシーンを観てもらうのがはやいと思う(※エログロ描写が結構強めなので苦手な人は飛ばしてね!)

特に2つ目に貼った動画がぼくのイチオシ。
1話のデイビッドが学校に向かっているシーンなのだが、ナイトシティの状況とそこに住む人々の息づかいが2分間に詰め込まれていてとても好き。
原作のナイトシティの雰囲気が完璧に表現されていて、1話のこのシーンを初めて観たときは感動で泣きそうになったのを覚えている。
世界観の提示が丁寧で、説明抜きに出てくる用語もサイバーパンクものにしてはそれほど多くないので原作を知らない人も楽しめる作品だと思う。
というかむしろまだ何も知らない人にこそ観てほしい。
エッジランナーズは単なる原作ゲームの映像化ではないからだ。
エッジランナーズも、原作ゲームも、更にその原作であるTRPGの頃から引き継いできたサイバーパンクの理念とナイトシティという街の姿を異なるストーリーとアプローチで表現することができている。
アニメを観ることがゲームを遊んだ人に向けた単なるご褒美以上のものになっているのが素晴らしい。
どの作品も、他作品を知っていることをあまり前提とせずに、ナイトシティという街の華やかで刹那的で、悲劇的な姿を表現していて、ゲームから遊んでもアニメから観ても、ナイトシティへの解像度が高くなる最高の体験ができると思う。

エッジランナーズほど胸が締め付けられて切ない気持ちになるアニメは他に観たことがない。
是非ともNetflixで本編を観て確認して欲しいのだが、エッジランナーズを観終わった後に眺める月のなんと美しいことか。どうしても誰かと共有したくてたまらない。

5.Twinklestar(音楽)

kawaii future bassで有名なsnail's houseの名曲とそのMV。
これはとにかくMVが良いので是非曲と合わせてみて欲しい。
もし子供の頃、宇宙のどこかにいるエイリアンと人間が邂逅を果たす様子を思い描いたことがあるならば、とても懐かしい気持ちになれるMVだと思う。
かく言うぼくも、オカルトと宇宙の大好きな小学生時代を過ごした一人なので、Twinklestarを聴きながらノスタルジーに浸っている日が時々ある。
エイリアンとの出会いって争ったり仲良くなったりいろんな話があるけど、これくらいの緩くて明るいやつも良いよね。
snail's houseはどの曲もとてもかわいくて良いし、MVがみんな素敵なのでおすすめです。

6.シチズン・スリーパー(ゲーム)


https://shared.akamai.steamstatic.com/store_item_assets/steam/apps/1578650/header_japanese.jpg?t=1715129534

簡単な説明と感想は以下の記事で一度書いているのでよかったら読んでみてね。

2024年もおよそ半分が過ぎてしまったが、シチズン・スリーパーは今でもまだ今年遊んだ中で一番のゲームだと胸を張って言える作品だ。
あのコロニーの人々の暖かさがぼくの日常を優しく照らしてくれている気がする。

いつかもし、人間が当たり前のように宇宙のいろんなところで溢れかえるようになれば、宇宙にある無数の社会のうち一つくらいは自分の最高の居場所になるんじゃないか。そういう想像をして空を眺めている日がある。
もし本当に行けるなら、アーリンの瞳がいいな。

7.mass effect legendary edition(ゲーム)

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mass effect legendary edition(以下マスエフェクト)は、2007年から2012年にかけて発売されたmass effect、mass effect2、mass effect3の三作をリマスターし、一作でまとめて遊べるようにした作品である。
マスエフェクトは、三作ともにサードパーソンシューターの戦闘と探索、会話がメインになっているRPGゲーム。

マスエフェクトにおける人類は太古のエイリアンの遺物から得た技術によって太陽系外へと進出することができたが、そこには既に多くの高度に発達したエイリアン達による銀河社会が形成されていた。
銀河を統治するエイリアンの評議会の一員として認められるために人類が種族を挙げて努力している中で、主人公である地球連合軍のシェパード少佐は銀河系の全ての知的生命の存亡に関わる危機が迫っていることを知る。
シェパード率いる人間と様々なエイリアンの混成チームは宇宙艦ノルマンディー号に乗り、迫りくる危機から銀河を救うための戦いに身を投じることになる、というのが簡単なあらすじ。

会話中の選択肢が非常に多く用意されており、選んだ選択肢とその結果が一作目から二作目、二作目から三作目と引き継がれてダイナミックにストーリーが変化していくことが特徴であり本作最大の魅力であると思う。
選択肢一つで、戦わずして人を助けられることもあれば、ふとした選択のミスで簡単に仲間を失ってしまうこともある。それら全ての選択が三作を通して引き継がれていくので、シェパードの身に起こることが画面の奥の他人事とは思えず、主人公の視点から一喜一憂し、終始ストーリーに引き込まれていた。

戦いや会話を通じて、明日には失ってしまうかもしれない仲間たちと家族のように仲良くなっていく様には、一期一会を感じずにはいられなかったし、完結作であるmass effect3ではこれまで全ての選択を踏まえた自分だけのクライマックスが展開されていて、感極まって泣きそうになったタイミングが何度もあった。
違和感なく、またくどくない形でプレイヤーを作品に参加させているのが素晴らしい。

また、マスエフェクトの銀河の作り込みは凄まじい。
数多く登場するエイリアンそれぞれの文化や気性、その他様々な設定が丁寧に描写されており、それら全ての設定が完璧にゲーム体験を構成する要素となっている。
ほんの小さな設定ひとつがストーリーを動かす大きな要素になることも多々あって目が離せないし、直接的にストーリーに関係しない多くの設定も、三作続けて遊び、少しずつ知っていくことで銀河やエイリアンに対する愛着となっていくのがとても新鮮で楽しい体験だった。

まだ出会っていないだけで、もしかすると太陽系の向こうにはマスエフェクトで出会ったような様々な種族や世界がひしめきあっていて、いつか友人になれるのかもしれない。そう思うと夜空を照らす星々に数え切れないドラマが隠されている気がして、まるで都市の夜景を眺めているかのような希望に満ちた気分になる。

8.starfield(ゲーム)

https://shared.akamai.steamstatic.com/store_item_assets/steam/apps/1716740/header.jpg?t=1718028618

ここ最近のぼくが宇宙にハマり直している理由の一つ。falloutシリーズやthe elder scrollsシリーズで有名なベセスダゲームスタジオが去年発売した完全新作。
プレイヤーの視点が一人称と三人称の2つから選べたり、派閥ごとのプレイヤーに対する評価システムや自由度の高いクエストなど、多くのシステムを前述した2つのシリーズと共有している。
基本的にはfalloutやthe elder scrollsの自由な冒険を宇宙を舞台に移して体験できると思ってもらえば差し支えない。
念の為ベセスダゲームスタジオのゲームを知らない人に軽く説明しておくと、ベセスダゲームスタジオのゲームは、自由度の高いオープンワールドで、ストーリーやクエストの進行に一意の正解がないのが特徴である。
多くの選択肢が用意されており、自分だけのキャラクターで好きなロールプレイを楽しめるのがとても良い。

starfieldは環境の変化によって地球に住めなくなってしまった人類が銀河中に移住したあとの宇宙の話。
プレイヤーは銀河の人々を守るヒーローになってもいいし、宇宙海賊になって暴れまわってもいいし、人間のものでない謎の遺物の起源を探してもいい。
何者にもなれる宇宙が本当に楽しい作品だ。

starfieldの世界にはきちんと宇宙を統治できている国家が特に存在しなくて、宇宙を股にかけたアウトローも正義の味方も、彼らとは関係のない普通の移民も、いろんなバックグラウンドを持った人々が違和感なく共存しているのがとても好き。銀河系の辺境で偶然の出会いがあったりして旅してるのが楽しくて仕方ない。

starfieldのおすすめポイントはもう一つある。
それは銀河系の様々な星系や星に実際に訪れられることだ。
無数の星々を巡って自分だけの絶景を探しに行ってもいいし、前述したような銀河系を舞台にした作品に登場する星を実際に訪れてみるのもいいだろう。
ぼくたちはまだ宇宙に行けないが、starfieldの宇宙でなら今からでも好きな作品の聖地巡りができる。マジでありがとう、starfield。
あとstarfieldは好きな星に拠点を設けることができるのが好き。星を継ぐものが大好きなので月に拠点を作った。月面基地って響きめっちゃ良くない?

これまで夜空を眺めて、創作で宇宙に触れることを繰り返していたのだが、starfieldのおかげでゲームとはいえ遠くの星々に実際に行ってみるという選択肢が増えたので宇宙のことを考えるのが前より一層楽しくなったと思う。

おわりに


他にも紹介したい作品はいくつかあったのだけど、すごく体力を使ってしまったので今日のところはこれまでにしておきます。
最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。

いつでもいいから、あなたも夜空を眺めてみませんか。
これを読んでくださった皆さんと同じ星々を眺めていると思うと、夜空がまた一つ綺麗になった気がするのです。

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