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[改訂版]新人職員のための債権管理『超』基礎講座_消滅時効の確認


それでは早速、今日の講座を始めたいと思います。
今日は、チャプターツー、消滅時効の確認です。
債権を適正に管理していくためには、消滅時効について学んでおく必要があります。
消滅時効は、かなり困難なテーマですので、ここでは、基本的な部分のみ説明していきます。

今日のテーマは、4つです。
1、公債権の消滅時効
2、私債権の消滅時効
3、消滅時効の更新と、完成猶予
4、更新と完成猶予の具体例
ほんとは、1日1テーマずつ説明したほうがいいのですが、
基礎編ということで、内容をぎゅっと圧縮しました。

公債権の消滅時効について説明しますね
まず、公債権も私債権も共通事項として、債権の消滅時効とは、権利を行使しないことによって、その権利が消滅してしまう、法律で決められた期間のことを言います。
公債権に関しては、地方税は5年。
国民健康保険料などは2年。と、法律で決められています。
前回の動画で、少し触れましたよね。
この期間を過ぎてしまうと、債権者側は、支払いを請求することもできなくなるし、債務者側は、支払いをしたくても、受付してもらえなくなります。
公債権については、比較的分かりやすいかと思います。

次は、私債権の消滅時効です。
私債権は、民法改正が絡むので、少し複雑になるのですが、今回は、改正後の内容についてのみ説明しますね。
スライドに書いているとおり、5年と10年の消滅時効があります。
しかし、地方自治体の私債権の場合は、原則、5年。と、覚えておいてください。
例外的に、裁判で判決を取ったときなどは、10年になりますが、今のところは、頭の片隅に置いておく程度で構いません。
裁判などのお話は、別の動画で説明します。
ここで、注意しておかないといけないことは、改正後の民法が適用されるのは、令和2年4月1日以降の契約などをした債権です。
令和2年3月31日以前の契約などをした債権は、改正前の民法が適用されます。
改正前の民法による消滅時効は、もっと複雑ですので、今回の、超基礎講座では、省略します。

続いて、消滅時効の完成猶予と、更新です。
言葉からして、なんだか難しそうだなって思いますよね。
消滅時効が過ぎてしまうと、請求もできなくなってしまうことは、さっきお話ししました。
消滅時効期間の進行を止めたり、リセットしたりすることを、完成猶予や、更新、といいます。
いろいろな手続きを取ることで、消滅時効の進行を止めたりできるのですが、一般的な民法の規定に加えて、地方自治体の債権には、特例的な3つの要件が設けられています。
ここで覚えておいてほしいことは、料金などの債権債務を確定させるための、納付、納入の告知。
納期限を経過しても、支払いがないときに送る、督促。
支払い義務のある債務を認める、承認。
これらの3つの項目です。
これら3つが、実務を進めるうえで、重要な手続きとなってきます。
債権を確実に回収できるかどうかの、分かれ目といっても過言ではありません。

それでは、完成猶予の具体例を見てみましょう。
消滅時効が進行している途中で、完成猶予事由が発生した場合を、図にしてみました。
そのまま進行していくと、消滅時効が完成してしまいます。
時効期間が経過してしまうことを、消滅時効の完成と言います。
完成猶予事由が発生した場合、猶予期間中に本来の消滅時効の完成時期が到来しても、猶予期間中は消滅時効が完成せず、完成猶予の期間終了ごに、消滅時効が完成します。
また、完成猶予期間中に、その猶予事由が消滅した場合は、消滅した時から、一定期間が猶予されます。
どちらの場合も、本来の消滅時効の完成時期で、債権が消滅することはありませんが、猶予期間が経過すると、消滅してしまいますので、次に説明する、更新の手続きを取らなければなりません。
完成猶予の手続きをとったからといって、安心するのではなく、その猶予期間の管理もしっかりしていくようにしてください。
完成猶予については、名前のとおり、本来の時効完成が猶予されること。
延長される。というように考えてもらうと、分かりやすいかもしれません。

いよいよ今日の最後の項目です。
消滅時効の更新について、具体例を見ていきます。
更新については、比較的単純だと思います。
消滅時効が進行している途中で、更新事由が発生すると、そのときに、時効の進行がリセットされることを、消滅時効の更新と言います。
例えば、消滅時効期間が5年の債権について、4年が経過した時点で、債務承認があったとします。
債務承認があったときに、これまで進行してきた消滅時効期間がリセットされ、またゼロから消滅時効期間が進行をしていくことになります。
そのため、先ほどの完成猶予の手続きをとった際には、猶予期間中に更新手続きを取ることで、消滅時効の進行をリセットすることが必要だということになるのです。
最後に、余談ですが、
完成猶予と更新も、民法改正後に、事由が発生した場合に適用されます。
また、同じ消滅時効に関する内容ですが、消滅時効の期間や進行と、完成猶予と更新については、全く別々のものになりますので、ごちゃ混ぜにして考えると、思考の迷路にハマってしまいます。
あくまで、関連事項として捉えるようにしてください。


最後に、この内容の動画を公開していますので、貼り付けておきます。
よければ視聴してみてください。


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