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自転車ロードレース ドーピングの話

ランス・アームストロング
ランス・アームストロングは10代でトライアスロンの選手としてアメリカで、ランキング1位などになり、それなりに活躍していた。
しかし、当時トライアスロンはオリンピック種目でなかったため、自転車ロードレーサーへ転向する。バルセロナオリンピックへアメリカ代表で出場している。その後、本格的なプロロードレーサーとなりヨーロッパへ渡る。
そして、ツールドフランスで伝説的活躍をするのだが、それはドーピングのお陰だったと言う後味の悪い結末となる。

2001年、グレック・レモン(ツール・ド・フランスで1986年初優勝、彼も散弾銃で撃たれて復活後、1989年、1990年2連勝した)が、ランス・アームストロングがドーピングをしていると言及し、ランス側と大論争になった。

一方、ランスは1999年から2005年まで、ツール・ド・フランスを7連覇する。これは記録抹消されなかったら、一生破れない記録だ。ちなみに過去において、ツール・ド・フランスの連勝者は、有名どころで、ベルナール・イノー、ミゲル・インドゥライン。最近はよく知らないので割愛。

ちなみに、家の息子は、私とこの時期ツールドフランスを一緒に観ていたので、ローラン・フィニヨン、デルガド、レモンなどのバトルを今でも覚えている。1985年から1991年のツール・ド・フランスのNHKのDVDは宝だ。

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1989年のレモンとフィニヨンの最終ステージ
1989年のレモンとフィニヨンの最終ステージでの個人タイムトライアル、8秒差の逆転劇。
ツールドフランス史上最高のレースだった。この動画、クリス・ケプラーのナレーションがいい。時間があれば観て欲しい。クロモリフレーム、手組ホイール、スコットハンドルでの激走。

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この後、レモンの写真、このスコットハンドルのスタイルが、トライアスロンバイクの憧れとなった。私も1986年のアイアンマンレースで、スコットバーを手に入れて使っている。
当時、日本には10本も入ってなかった。

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ドーピングの影
さて話はランス・アームストロングに戻そう、彼は1996年に睾丸癌で生死の境をさまよう、そして1999年復活してツール・ド・フランスで奇跡の優勝をする。その後7連覇する。
レモンの示唆から、11年後2012年に、ランスのドーピングが確定した。基本他選手の告発と状況証拠によりランスのドーピングが確定した。
もう8年前になるので、この事はほとんど皆の記憶から消えていると思う。また、当時の日本での自転車ロードバイクのブームも去り、知らない人が多いだろう。

本で読んでみる
ロードレースにおけるドーピングの本としては、ノンフィクション
「シークレット・レース」 小学館文庫 を読むとドーピングが分かったような気分になる。

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最近のランス本人の話だと1993年頃から薬はやっていたとか、しかし当時は皆同罪とか、それだけ検査が甘かったのだろう。
ランスが1999年に復活したとき、病気前と体つきが全く違っていた。これは、当時はまだツール・ド・フランスをよく見ていたので、凄い肉体改造だと驚いていた。
ついでだけど2000年から、この人の力で、トレックのロードバイクが相当売れていたことは事実だ。

ドーピングってなんだ?
風邪薬でドーピングとか言っているけど、本当のドーピングは以下が有名。昔結構調べたことがある。
既知の有名なドーピングはこんな感じだ。

1.エリスロポエチン(EPO)
血液中の赤血球(酸素を運ぶ)を増産する仕組み
これは、血液がどろどろになり、心臓に負担をかける。
長距離系スポーツ向け。

2.自己血輸血(血液ドーピング)
ツールなどの超長距離レースで、疲労物質の溜まってない、自分のフレッシュな血液を試合後に入れ替える。

3.テストステロ
男性ホルモン 痛みに鈍感になる。

4.副腎皮質ステロイド
筋肉増強だな。

EPOドーピング
私はアイアンマン級のトライアスロンを長年やっていたが、最後のランの苦しみは相当なものだ。競技レベルには関係なく、限界まで行くと人の感じるキツさは皆同じ。
ここで、長距離レースに向く体とは、ヘマトクリット値を高くし、後は痛みに耐える体となる。

ヘマトクリット値について調べてみた
ヘマトクリット値は血液中に赤血球が占める割合(%)、
成人男性で40~50%、成人女性で34~45%。

高地馴化するとヘマトクリット値は上がる。低地に戻ると値は次第に元に戻ってしまう。だから、マラソン、水泳、自転車の選手は試合間近に高地練習を入れる。
それを薬でやるのがEPOドーピング。

ちなみにヘマトクリット値は男性では50歳代から、女性では60歳代から低下し始め、その変化は加齢ともに落ちる。さらに男性の方がより顕著だそうだ。高齢の女性ランナーが男性より多く活躍するのはこのせいかもしれない。

三浦雄一郎の爺さんはこの値が異常に高いとか、だから80才でもヒマラヤ登山が可能なのだろう。
自分は10年前に45だったが、今は、水泳とかの感覚から低下していると思う。これは自分のデータではないけど、こんな感で老化している。
対策としては、老化が少ない筋肉つけるしかない。

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さて自転車ロードレースで、EPOのドーピングが激しかった頃、UCIは「ノー・スタート」ルールを定めた。レース当日の朝のヘマトクリット値が男子選手で50%以上、女子選手で47%以上ある場合には失格とした。それでも生理食塩水で薄めたりなどして選手達は対抗した。

映画
ドーピングを主題にした自転車ロードレーサーの映画、全て実話。

レーサー/光と影 フランス映画
女子自転車ロードレーサーの栄光と転落、ドーピングにより掴んだ栄光。
ドーピングのやり方がリアル。
DVDしかない。

「疑惑のチャンピオン」
ランスの栄光と転落の物語
Netflixが配信していが、今ないなぁ。
観たいな。


パンターニ/海賊と呼ばれたサイクリスト
ノンフィクション映画
34歳で亡くなったイタリアの伝説的ロードレーサー、クライマーのマルコ・パンターニ。
ツールドフランスでのランス・アームストロングとの激闘。
彼もドーピング疑惑がつきまとい、薬物の多量摂取で死亡。

ここまで色々と読み、観て考えると、ドーピングは違法で悪だが、全てが選手のせいだとは簡単に言い切れないとも思っている。スポンサー、マスメディア。手を出さないのが難しい時もある。最近よく分かる。


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