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個人的な教育の話15 身近な自然を感じる子供の世界が消える

開発が復活
  今から20年前、住んでいた横浜のチベットと言われる里山地区、広大な緑地が広がっていた。当然開発計画はあったが、バブル崩壊で計画が10年ほど中断されていた。それでも土建国家は直ぐに復活した。

 横浜の北にある静かな里山だが、ここは不法投棄も多い場所だった。
「森はゴミ捨て場ではない!」
管理していない森は直ぐにゴミ捨て場になる。
近隣の方々は「汚いから何とかしてください」という。
ごもっともで、これも開発の言い訳になってくる。

里山が消える
 山を切り崩し木々を伐採して台地にする。大規模な宅地開発がされる。それが無理なら今度は公園、動物園を作る。森の木を利用してのフィールドアスレチック。よく分からないレジャー施設。
昔自由に走れたマウンテンバイクのコースが有料となっていった。

 日本の守るべき自然、里山が消えていく、これなら環境保護意識が強い東京の方がマシだと思い、地元に引っ越した。(それだけの理由ではない、要因の一つ)
思った通り、私の子供の頃と変わらずにカブトムシもクワガタもヒキガエルも沢山いた。

2004年東京(多摩地区)へ引っ越した 
 近所の神代植物公園の施設の一部に、「植物多様性センター」がある。
今は綺麗に再整備されている。2004年当時は施設は再整備前で、バブル崩壊でそれも何時になるか分からない状況だった。
設備はぼろぼろで、手入れする人も入れてない、荒れ放題だ。
でも、その方が自然にはいいことも多い。

秘密の場所
 施設内に四角い池があった。綺麗な場所ではないので、近所の子供達は誰も近づかなかった。
そのおかげか、この池はヒキガエルの産卵場となっていた。水が緩む頃、オタマジャクシの天国だった。
横浜の田舎から転校してきた息子がそのことを発見した。施設の管理人も、どうせ壊す施設なので、捕獲しても怒ることもない。無関心だ。

ヒキガエル

 この池、オタマジャクシ以外にも、放流したのか元からいるのか知らないが、ザリガニが沢山いた。誰も捕らないからでデカい!
メダカもいる。稀にグッピーもいる。これも放流されたのだろう。
本当に天国みたいな場所だった。

ザリガニ釣り

 地元の子に知られていないので、うちの子供達だけの秘密の場所として楽しんでいた。
猟場の保護の為、ザリガニもオタマジャクシも飼育可能な範囲で持ち帰っていた。そう言う点は私がきちんと教育していた。
しかし、この天国も2シーズンくらいで存在がばれた。
子供と一緒にうるさく騒いで行動する大人と、その子供達が乱獲して終了となる。

 その経験から、近所でカブトとかクワガタなど捕れる場所を発見しても、乱獲を恐れ、周りに気づかれないように息子と捕獲していた。
夜中に大人が騒ぎまくって無知な行動をして場を荒らしていく。こんな人達を何度も見ていると自然保護やアウトドア教育って重要だと思った。

子供の世界
 郊外とか都市部の少ない秘密の自然は、インスタなどのSNSで発信すると、直ぐにめちゃくちゃになる。木の根っこにカブトが潜っていると思って、根っこを掘ったり、枝を折ったり。素人大人のやることは最悪だ。カブトやクワガタは気温と湿度、時間とのタイミングをみないと発見出来ない。

 今や「子供の世界」と「子供の秘密基地」がない時代となっている。
年上の子供達が小さな子供に自然のルールを教える、そんな世界が消えている。兄弟もいない子供も多い。
それの代わりが巷の自然体験スクール、ツアーとなる。
何でも商売になる時代で、良いとは思うけど、なんか寂しい。

マイケル・サンデルの言葉をその度に思いだす。
「それをお金で買いますか」


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