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初めての野菜づくり⑦物々交換(909文字)
5月下旬くらいからあちらこちらの畑でたくさんの野菜が実っていた。共同の水道でも、収穫した野菜を洗っている人を頻繁に見かけた。
一方、初心者代表である我が畑ではしばらくの間は小ぶりのラディッシュの収穫だけ。それでも嬉々として畑に通っていたけれど、それを食べ尽くしてしまう少し前から大根が立派に育ってきていた。更に、最近ではきゅうりも何本か採れた。
菜園ではたくさん収穫できた野菜をお裾分けしている姿をよく見かける。いつかそんな身分になりたいものだと思っていたが、小さくて形の悪いラディッシュを二つ三つをプレゼントしても…もらった方も戸惑うだろうなぁと躊躇していた。
しかし、その後に出来た大根は自分で言うのもなんだけどけっこう立派に育った。これなら畑の先輩方にもお裾分け出来るだろうと先週あたりからそのチャンスを伺っていた。
その時は、昨日やってきた。お世話になった方々に大根を一本ずつお裾分け。立派な大根が出来たね、と喜んで受け取ってくれた。
そうして、空いた畝にはさつまいもを植えた。苗は、畑に行く直前に一本30円で購入した。これが秋になって期待通り実ったら、ものすごくコスパの良いさつまいも栽培の成功だ。そんなにうまくいくかどうかは分からないけれども。
さつまいもを植え終わるころ、先輩方から採れたてのきゅうりやラディッシュをいただいた。ラディッシュは、我が畑で採れた貧相なものとは風格が違う。さすがだ。同じ敷地の畑でも、栽培者が違うと育ち方がこうも違うものかと感心してしまった。
先日も、畑敷地内でたまたま通りすがった方から、インゲンが食べきれないほど採れたから良かったらどうぞ、と両手に溢れるほど頂いた。採れたてインゲンはその日の食卓に並んだ。新鮮とは美味しいということなんだと改めて実感したばかりだった。
畑は社交場。仲良しさんたちは、作業の途中でお弁当の買い出しに行って、畑内のベンチで一緒にランチタイムを過ごす。菜園初心者がいれば、周りのベテランさんがアドバイスをくれたり、時には道具を貸してくれたりと面倒見がよい。そしてたくさん採れた収穫物はその野菜を作っていない人にお裾分けし合う。なんとも微笑ましい風習ではないか。
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