見出し画像

なぜ「賃上げ」が問題になっているのに、「付加価値を上げる」ことを取り上げないのか?

日本は「モノづくり大国」である。

このような視点で、「日本」を語られることは多いです。

しかし、実際は日本の就業者の約7割が最三次産業、つまり
「サービス産業」に従事しているのが現実です。

それにもかかわらず、「『サービス産業立国』としての日本」という視点から、諸々の問題を語られることは、意外と目立たないです。
いつまでも「モノづくり大国」という視点のみで考えていては、日本の将来を創造していくことは、非常に難しいと考えます。

「賃上げ」が盛んに言われているが…

昨今の経済課題として「賃上げ」が盛んに言われております。

政府や労働者の団体である「連合」等の団体から、盛んに賃上げを要請していることは周知の通りです。

「とにかく、賃金を上げろ!」

確かに、「国際的な物価水準」や「国内の経済活性化」という観点に立つと、労働者の賃金を上げることは喫緊の課題でしょう。
しかし、単に「賃金を上げろ!」と経営側に要求しているのみで、問題は解決するでしょうか。

なぜ「『付加価値』を上げる」ことに言及しないのか


労働者の賃金を上げるために必要なことは、いったい何でしょうか。

結論から言えば、
「人件費以外の経費を据え置いたままで、『総売上』を上昇させ、賃金上昇に必要なお金を確保すること」
ではないでしょうか。

「そんなことができれば、問題はすぐにでも解決するよ!」

という声が聞こえてきそうです。

ですが、これは真剣に考えなければならないことです。

計算書類の一つである「損益計算書」の構造から、考えてみましょう。

ざっくりと言えば、労働者の人件費は、製造業に関わる人は「売上原価」から、サービス業に関わる人は「販売費及び一般管理費(販管費)」から出ています。

日本の会計基準は、

総売上-売上原価=売上総利益
売上総利益-販管費=営業利益
営業利益+営業外利益-営業外費用=経常利益
経常利益+特別利益-特別損失=税引前利益
税引前当期純利益-法人税・住民税及び事業税=当期純利益

という構造になりますが、
「賃上げ」をするには「総売上」を上げないことには、賃上げに必要な原資を求めることはできないですし、「内部留保」も企業の存続の面から、ある程度確保する必要があります。
また、「人件費」以外の「売上原価」や「販管費」が上昇すれば、結果的に利益が下がるので、賃上げに回せない、ということにもなります。

そこで考えるべきことは、
「人件費以外の経費を据え置いたままで、『総売上』を上昇させ、賃金上昇に必要なお金を確保することをいかに実現させるか」ということになるのです。

日本では、
「いいものを、より安く売る」
という考えが浸透しています。

ですが、この考え方に固執していると、残念ながら「賃上げ」問題を根本的に解決することは難しいでしょう。

そこで必要なのが、
「『付加価値』をつけて、より高く売る」
ということです。

「サービス産業」における、賃金上昇のキーポイント

最初に
「日本の就業者の約7割が、サービス産業に従事している」
と書きました。

最近では、目に見えない、ないし可視化しにくい「サービス」に対して対価を支払う、という価値観は、以前よりは高まってきているようには感じますが、まだまだ十分な領域に達していないように思います。

サービスに「付加価値」をつける、ということは簡単なことではないですが、
「顧客に、『より高い価値』を見出してもらう」という視点で営業や接客を行うことより、より高く売ることは決して不可能なことではないでしょう。
このことは、「モノを売る」ことにも通じますが、「サービスに対価を支払う」意識が低い日本においては、より大切なことです。

現に、「販売」という行為において、顧客の購買意欲を掻き立てることは、購入に至るまでの大切な要素です。
そこには、「商品そのものの価値」のみならず、「専門家としての知識・知恵の提供」や「顧客への活用法の提案」といった、その分野の「プロフェッショナル」との関わりを通じて供給される付加価値があります。

その「『付加価値』の提供」を通じて「総売上」に結びつける、「売上原価」や「販管費」をかけない工夫をして「総売上」上昇に繋げる、という視点に立つことにより、結果的に賃金上昇の循環に繋げることが、健全な成長路線に繋がるのではないか、と考えます。

それは、顧客となる消費者側の意識も、
「いいもの、ほしいものには、適切な対価を支払う」
ということを、意識的か無意識かに関わらず、共有することが求められます。

「プロフェッショナル」を輩出を通じて

私が「効率よく資格が取れる『必勝勉強法』」を執筆した理由の一つに、
就業している業界において、「プロフェッショナル」として認められる人が一人でも多く出てきていただきたい、という願いがあります。

「プロフェッショナル」として認められるためには、「経験」に加え、「資格」が必要な業界があることも事実です。

「賃上げ」を実現する一番早い方法として、
「資格手当」のある会社に働いている人が、該当の資格を取って「資格手当」をもらう人が増えることです。
そのために、「働きながらでも、資格を取るための方法」を提案しております。

ですが、先ほども指摘しましたが、会社の「総売上」の上昇に貢献してこそ、「健全な賃金上昇の循環」に繋がるものと考えます。
それには、一人でも多くの「プロフェッショナル」が生まれ、付加価値の高いサービスの提供を通じての賃金上昇を実現する必要があります。




この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?