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「未病を治す」漢方と「EBM:証拠に基づく治療」

 日本の医学の主流が西洋近代医学になった明治維新から一世紀半、漢方医学西洋医学には、相互に異なった効能のあることが認められ、その価値が見直されつつある。

 その一つが、漢方の「未病を直す」という考え方である。
 ここで「未病」とは、2000年以上も昔に書かれた鍼灸の古典『黄帝内経』に出てくる言葉だ。「まだ病気に至っていないものを治す」という意味である。

 病気になる前の状態、すなわち、体のバランスが崩れたり、少し調子が良くなかったりするときに、先手を打っておく。あらかじめ、病気の芽を摘んでおこうというわけだ。

 漢方は、そんな予防医学に向いている。具体的にいうと、痛みなどの症状を軽くしたり、病気の進行を遅くしたりするのも、漢方は得意である。

 ただし「すべて完璧」というわけでもない。
 つまり、漢方にはどれぐらいの効き目があるのか。それを、きちんと評価するシステムづくりが大切である。

 それというのも、最近の医学界では「証拠に基づいた治療」(EBM:エビデンス・ベースト・メディシン)を確立する動きが加速している。
 それは、漢方への信頼をさらに高めるためにも不可欠な条件にほかならない。

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