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推薦漫画:1冊完結編 その1

けっこうな頻度で本屋にて手が伸びるのが1冊で終わるやつだったりします。短編集大好き。ジャケ買い、本屋さんのオススメPOP、Twitter情報など何かしらのきっかけで衝動的に入手しやすい傾向にあります。
敬称略

「東京膜」渡辺ペコ

あなたはどんな部屋に住んでいますか? 未体験! 間取りまんが『東京膜』3部作ほか、読み切り『9時から5時までのチャコ』『たんの3兄弟』『リビングルーム』を収録。

現在「1122(いいふうふ)」の連載でもおなじみの渡辺ペコ先生の作品を最初に知ったのがコレです。人と人の関係性って無限にあると思うんですがこれを読むとすごくそう思う。同じきょうだいでも色々違うし、ちょっと喋っただけなのにウマが合うなとか、なんとなく好きとか好きじゃないとか。
渡辺ペコ作品はほかにもおとぎ話をベースにした「変身ものがたり」、映画にもなった小説「蛇にピアス」のコミカライズ、人気脚本家木皿泉さんの初小説をコミカライズした「昨夜のカレー、明日のパン」などどれもさくっと手に取りやすく、でいてグサッと来るので是非。

「江豆町」小田扉

日本の何処かの、海沿いに面した場所にある「江豆町」での不可解な「日常」を独特な視点で描く。なお、本作品には主人公や明確なストーリーは示されておらず、伏線めいたモノローグやキャラクターの相互関係は示されるものの、物語の全容は読者の想像に委ねられている。

小田扉先生といえばアニメにもなった「団地ともお」が人気ですが私はとにかくこの「江豆町」を全員に読んでほしいんです!架空の町を舞台に繰り広げられるオムニバスSF (すこし 不思議) 漫画。4すくみのじゃんけん、滅びた国の囚人、サダメアゲハっていう蝶の興味深い生態、町のシンボル犬像の伝説…。実際には絶対に無いのに「もしかしたらどこかに存在するのでは…?」とうっすら思ってしまう謎の説得力。当然有るかのように出てくる民明書房みたいな感覚の漫画です。伝われ〜~~

「外天楼」石黒正数

外天楼と呼ばれる建物にまつわるヘンな人々。エロ本を探す少年がいて、宇宙刑事がいて、ロボットがいて、殺人事件が起こって……? 謎を秘めた姉弟を追い、刑事・桜庭冴子は自分勝手な捜査を開始する。“迷”推理が解き明かすのは、外天楼に隠された驚愕の真実……!? 奇妙にねじれて、愉快に切ない――石黒正数が描く不思議系ミステリ!!

連載中の天国大魔境も面白いですがこの外天楼はすごい!ロボットが日常に浸透している世界が舞台、最初はそのオムニバスかと思いきや徐々に繋がってくるミステリー。何度も「そうだったんだ!」って気づかされる小気味良い裏切りが出てきます。ちなみに私は初めて読んだ時、途中で混乱してもう一回読み直したりウロウロしました。理解し始めてからラストまでの加速度、味わってもらいたいです。

「式の前日」穂積

双子の兄弟、ワケありの親子、結婚をひかえた男と女…。“ふたりきり”という情景を温かく、鮮やかに切り取った珠玉の短編よみきり集。新進気鋭の著者・穂積のデビューコミックスにて最高傑作。

まずはとにかく表題作「式の前日」はマストで読んでほしいです。このたった16ページで私はメルトダウンしました。ほかの短編も粒ぞろい。案山子のママの話も好きだなー。穂積先生の画で好きなのは老若男女問わず「困ったように笑う顔」が良いんですよ。

「夢中さ、きみに。」和山やま

気になる君はうしろの席に――。WEBなどで噂の作品たちが待望のコミックス化。話題の作品「うしろの二階堂」は全ページ加筆修正のうえ、30ページ以上の描き下ろし続編を収録。

読み終えると、もうすっかり夢中です。出てくる人みんな良い、男子高校生になって今すぐこの学校に通いたいよ(現実逃避)。細かい描写が面白くてニヤニヤしてしまう。巻末の小エピソードまで余すところなく楽しめる1冊です。これからの作品も楽しみだな〜。

「猫も、オンダケ」和田ラヂヲ

愛媛県松山市に住む恩田家に、ある日猫が一匹やってきた―――。誰しもがその昔に経験したような懐かしさ、そして今でもそれが続いているような家族とのたわいも無い心像風景――。なのにジーンと沁みて、くすっと笑えるこの世界こそ、漫画家として20年以上活躍する和田ラヂヲ先生が【本当に描きたかった作品】と語ったこのお話。

和田ラヂヲ先生の4コマはひたすらずーっと読んでいたい。湯船につかってるときみたい。恩田家の人、みんな良いんだよなー!昭和のファミリー、磯野家とかさくら家とかも好きだけどもっと身近な気がする恩田家もぜひ。
ほかにも「和田ラヂヲの火の鳥」は手塚プロダクション公認。火の鳥で暖をとるネコチャンがかわいかったです。

「ピーヨと魔法の果実」しちみ楼

ピーヨって何? 不思議で不快な謎のキャラ・ピーヨと共に旅立つ大冒険!ファンタジックでちょっぴりホラーな大人の童話!

ホラーのオムニバス、読みやすいし絵柄も一見かわいいのにちゃんとこわい。この一冊を読み終える頃にはピーヨのトリコになるでしょう。ピーヨというキャラクターはもっと浸透していいと思っています。いや、実はもうあなたの隣に既にいるかもしれませんね……。
ちなみにピーヨのお話は現在リイド社の漫画サイト「リイドカフェ」でたくさん読めます。単行本未収録の話もたくさんあるので続刊熱望!

「シライサン オカルト女子高生の青い春」乙一/崇山祟

オカルト趣味だけが生きがいの、“空気”のように目立たない女子高生トリコはいつもの古書店で一冊の本を手に取った。そこに書かれていた“目隠し村”の伝承のとりこになった彼女は翌日、同じクラスの男女グループに伝承をベースにした怪談話を披露。すると後日、話を聞いた男女が次々と“眼球破裂”という謎の死を遂げていく。トリコは急遽オカルト部を結成し、目隠し村 の呪いに立ち向かう。

普段目立たない子がオカルトで生き生きと輝いていくのも最高だし容赦なく犠牲が出るのも醍醐味。映画「シライサン」とはまた違ったストーリーだそうで、漫画ならではのギャグ要素もあってコミカルな絵柄もあって楽しめます。伝播する呪いってこわい。

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思えばりぼんっ子だった幼少期の頃から読み切りやオムニバス形式にはまりやすい傾向にあります(おそらくは谷川史子先生作品の影響)。
「その1」とあるとおり、1冊完結の推薦漫画が思ったよりたくさん出てきたので、次回もおたのしみに!

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