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読書とは何か 知を捉える15の技術 を読んで 読書家の読書のイメージを考える

小理屈野郎は読書をかなり楽しんでいますが、このような人は結構いて、どのように読書するのが一番いいだろうという風に考えている人はたくさんいるようです。
どのように読書するのが一番いいだろうと言うことについて考えるのがいわゆる「読書論」というやつで、結構この手の本はあります
各人色々な視点から読書によって自分の知識の領域がどう広がるか、新しい本を読んだときの知識がどのように入ってくるか、等について著者それぞれのことばで語っています。
どれもが結構興味深いです。読んでいると「うんうん、あるある」みたいになります。
ちょっとした息抜きに読んでみるのもいいし、そこからえられる手法や考え方を自分の読書に取り入れるのも楽しいものです

そんな中で、最近出た、読書論に関する著作を読んでみましたので書評をアップします。

また、例によって私の読書ノートをベースにしておりますので、判例を示しておきます。

・;キーワード
→;全文から導き出されること
※;引用
☆;小理屈野郎自身が考えたこと

まずは書籍のメタ情報を。

書名 読書とは何か 地を捉える15の技術
読書開始日 2022/03/09 13:48
読了日 2022/03/11 08:19

概略

Kindleのおすすめの中から、久しぶりに読書に関するものを読んでみようと考え購入。
この著者の読書論はどんなものか?見てみようと思う。

読了後の考察

理系の研究者で読書家の著者の読書論である。
いままで読了した読書論は人文系の著者ばかりだったので、非常に新鮮な気がした。
統計学等の面から考えて、色々な著作を統計学的に視覚化したようなものができていたのにはびっくりした。
ちなみに、それをどう解釈するかが問題で人文系の研究者たちは考えあぐねている、というところが問題なのだろう。
著者の読書に関するスタンス(いわゆる読書論)を紹介した後、実際の読み方について各論を述べている。
基本的には自分と考え方はかなり似ているのではないかと思った

本の対象読者は?

読書について興味がある人
読書論について考えたい人
読書論と統計学の接続点に興味がある人。

著者の考えはどのようなものか?

・著者の読書論や読書感

※読書とは常に「部分から全体への推論」(アブダクション)である。本の読み手は、既読の部分を踏まえて未読である本全体に関する推理・推論を絶え間なく問い続ける。その推理・推論の対象である「全体」とは、その著者から読み取れる著者の主張を解釈することだったり、ある著者が依拠する知識体系を包括的に理解することだったりする。

・読書は狩りである

書籍等文字空間は狩りをする狩り場である。その中でポイントになるもの(個人的にはハイライトを付けたりコメントを付けたりしているもの)を文字空間から引き上げ(ノード化)それらを有機的に結びつけ、その文字空間の特徴を際立たせる、というのが読書であると著者は考えている。
ここでのノードの有機的な結びつけ方について各論を述べている。まあ、ここまで理論的には行かなくても大体の構造は自分の頭の中で(鋭い)読者はつくっているのではないかと思われる。

・往路と復路

読書の往路は本文を読破すること。そしてそれが終わった後に読書ノートなどを付けることで、文字空間から引き上げたノードを有機的に結びつけていく。これが復路になる。

→☆読書しただけでは知識の血肉かはしていないと考えるべき。

・大書を読むコツ

1.一歩ずつ足下を見手先を進む
2.時々休んで周囲を見回す
3.備忘メモをこまめに

→☆休憩する場合もしすぎないように注意。しすぎると内容を忘れてしまってなかなか本論にたどり着けなくなるし、読むのが嫌になってしまう。
ここでは休憩時に復路をたどる方法をあげている。
また、目次でどのあたりを読んでいるのかをチェックするようにも言及。この頃この癖は少しついてきた。中に全然目次がない本があったりしてびっくりするが。

・Twitterを使った備忘ノート

公開されているが、気にせずメモとして使っている模様。
確かに経過はよく分かるが、個人的にはなんとなく違和感あり。
内容の感想をポチポチ飛ばしており、それが一般に公開されているというところだ。
これ専用のアカウントをつくって利用するのが手かも知れない

・テクスト・パラテクスト・ペリテクスト

→パラ~;本文そのもので汎愛本の構成要素。本文以外の書名・序文・謝辞・引用・註
→エピ~;本の外部
→ペリ~;本の内部

・図解

図が本文になっている場合もあるが、大概は本文の理解を助けるために図表が用いられている。
その関係に注目して読書をするのも面白い。

・積ん読や未読了について

大体において他の著者の意見と自分の意見に相違あるようなものは認めなかった。

・読み心地について

※得てして読み手が線引きした、実態のない「境界線」による錯覚かも知れない。

→☆先入観なく読書をしていく必要があると言うことか。

その考えにどのような印象を持ったか?

読書の往路・復路の考え方は、Evernoteに読書ノートを詳細に残すようになってから特に実感する。
このようにしているからこそ内容は非常によく覚えているわけで、自分も理系だけに理系的な読書術を展開しているのか元感じた。

何度も同じ著作を読んでみる、というのは必ずどの著者も触れている。これもトライしていきたいと思う。

印象に残ったフレーズやセンテンスは何か?

※本を読んでも「分かる」必要はないのではないか。読んで「分からない」としても気に病むことはないのではないか。(中略)本を書く側に自由があるように、其れを読む側にも自由があるはずだ。読書は苦しむためにするものではない。

→☆内容が分からないときにこのことばはありがたい。自分が読書によって成長してからまた、向き合いたいと思えば再度読み直してみればいいと言うこと。

※読書の技能訓練とは何か。一つのやり方は。その同じ本を他の読者がどのように読んだかを知ること。
(中略)もう一つの方法は、かなり手間はかかるが、同じ著者が書いた他の著書をひもとく

→☆後者は個人的に結構やっている方法。著者のスタイルが分かってくるので、意外と思っているほど手間ではない。むしろ読書の復路の方が十分大変だと思われる。

※目次がきっちり書かれているかどうか。目次がいい加減な本は、最初から論外だ。後は註や索引が付けられているかも極めて重要。それらが書けている本は書評に値しない。

※本のタイトルは選書・短所の手がかりにはならない。

→☆実際これで結構失敗している。特に日系BPの書籍はタイトル付けやその解説が非常にうまい(マーケティングがうまい)と思う。実際読んでみたらたいしたことはない、みたいな(苦笑)

※「すぐ読める」とは「すぐ忘れる」

→☆実際そうだと思う。一定以上の時間をかけて読書をする必要はあると思う。

類書との違いはどこか

理系の研究者の書いた読書論と言うところ
いままでは人文系出身の著者の場合がほとんどだった。ここまで完全な理系の人の読書論に関する著書は珍しいと思う。

質問7 関連する情報は何かあるか

統計学と書籍のテキストに関わる関係

まとめ

読書は狩猟や狩猟場のマップをつくることと似ている、という発想は最初は首をかしげていたが非常に納得いくレトリックであったと思われる。

読書論、各人色々な視点から読書に対して論議を起こしている。
これはカテゴリーとして単一のものになるな、というのがやっと肌勘で分かってきた。

今後も出物っぽいものがあれば読んでみようと思いました。

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