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タバコがカッコいい場面

今ではおそらくあまり好かれないことの多いタバコだが、タバコがカッコよく見えるシーンがある。
タバコがあるからこそ、そのシーンやキャラが際立つ。

テレビドラマの踊る大捜査線の最終話、バーで柳葉敏郎扮する室井さんと織田裕二扮する青島がタバコを吸うシーン。
バーに犯人が来るのを張り込みしながら会話する場面で、青島がタバコを取り出す。

「一本くれないか…」と室井さんが意外なお願いをする。
「吸うんですか!?」と驚く青島。
「大学出るまでは吸ってた。警察庁に入って出世したければやめろと言われてな…」
実はもともと喫煙者で、出世のために禁煙していたという。
それなのに禁煙をやめるということは、これ以上の出世は諦めたことがわかる。

二人してタバコに火をつけ、同時に吸う。
深呼吸をするように深い一口を吸い、煙と一緒に溜め込んでいたものまで吹き出す室井さんと、
毎日吸い慣れていることがわかるくらい雑に吸って吐く青島。
ライターではなくマッチで火を点けるのがまたアナログながらに絵になる。

同じタバコで同じ動作をしているが、「タバコ」というものを通して二人それぞれの心情や生活が見えてくる。

もう一つ別のドラマで印象的なのが「北の国から」でのタバコシーン。
田中邦衛扮する黒板五郎が、息子の彼女と温泉に入っているところを地井武夫扮する中ちゃんとガッツ石松扮する新ちゃんに見つかってしまい、事情を説明する場面。

黒板五郎が話し始める前に、
「…タバコ、あるかい?」と中ちゃんと新ちゃんに聞く。
タバコを一本もらって火をつけて、一口吸ってから恥ずかしそうに事情を説明し始める。

タバコなんてなくてもそのまま話せばいいのに、気まずさからすぐに話せない。そんなときに話し始めのきっかけとしてタバコが役に立つ。
軍手をはめたまま人差し指と中指の間に挟まれたタバコが赤い火と煙を揺らしながら、しどろもどろの説明が続く。

「お願い!純にはこのこと黙ってて!お願い!」
ひざまづいて懇願する黒板五郎の情けなさと、その情けなさ故に一本もらったタバコがまた相性の良さを見せる。

渋くタバコを吸う室井さん。
ワイルドにタバコを吸う青島。
情けなくタバコを吸う黒板五郎。
どの人物も違ったタバコの吸い方があり心情が伺える面白さがある。
タバコというものはそれを表現してくれるちょうどいい小道具になっているような気がする。

自分もタバコを吸うならカッコよく吸いたいと思う。
惰性でダラダラと吸うのではなく、ここぞという場面で感情や状況を飲み込みながら記憶に残るような一服にしたい。

ルールやマナーを守るのはもちろんのこと。
タバコを吸わない人が見ても嫌われないようなタバコの吸い方をしたい。

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