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日商簿記検定3級攻略①~簿記とは~

1 はじめに

 昨今、簿記の資格を取得していることで、就職活動に有利なことはもとより、大学の推薦入試で強みとなったり、今日の資本主義社会で有利な資格であることは間違いありません。最近では、個人事業主となる方が多く、ますます、簿記の知識が強まる傾向です。この記事を読んだ方に、少しでも簿記の知識を身につけていただければと思います。また、日商簿記検定を受験される方に少しでも合格への力になっていただければと思います。今回の記事では簿記とはどのようなものかを掲載します。次回以降は、帳簿記入の方法や、試験内容について言及していきます。

2 簿記とは

 簿記とは「帳簿記入」の略称です。その具体的な記入方法については、「企業会計原則」から成り立っています。簿記を学んでいく上で、会計について少し触れておきます。

3 会計とは

 会計とは、金銭の出し入れとその内容を記録し、報告するものです。具体例として、家計(会計)、企業会計、一般会計などがあります。

4 会計公準

 会計公準とは帳簿記入を行う上での基礎的な前提で3つあります。
 1つ目は「企業実体の公準」です。これは、企業は、経営者や株主から独立したものであることを前提としているということです。
 2つ目は、「継続企業の公準」です。これは、企業は解散を前提としておらず、半永久的に継続することを前提としているということです。
 3つ目は「貨幣的評価の公準」です。これは会計はすべて貨幣という統一的な尺度で評価されることを前提としているということです。これらの公準を前提として会計における原則が構成されています。次に各原則について説明します。

5-1-1 企業会計原則

 続いて、企業会計原則について学んでいきます。企業会計原則とは、企業会計の基本的なルールを言います。一般原則損益計算書原則貸借対照表の3つから構成されています。

5-1-2 一般原則~真実性の原則~

 企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報​告を提供するものでなければなりません。これを真実性の原則と言います。

5-1-3 一般原則~正規の簿記の原則​~

 企業会計はすべての取引につき、正規の簿記の原則にしたがって正確​な会計帳簿を作成しなければなりません。これを正規の簿記の原則と言います。

5-1-4 一般原則~資本取引・損益取引区分の原則~​

 資本取引と損益取引とを明確に区別し、特に資本剰余金と利​益剰余金とを混同してはなりません。これを資本取引・損益取引区分の原則と言います。​

5-1-5 一般原則~明瞭性の原則~​

 企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し、必要な​会計事実を明瞭に示し、企業の状況に関する判断を誤らせない​ようにしなければなりません。​これを明瞭性の原則と言います。

5-1-6 一般原則~継続性の原則~​

 企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、​みだりにこれを変更してはなりません。これを継続性の原則と言います。​

5-1-7 一般原則~保守主義の原則~​

 企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、こ​れに備えて適当に健全な会計処理をしなければなりません。これを保守主義の原則と言います。​

5-1-8 一般原則~単一性の原則~​

 株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため種​々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある​場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成され​てものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめ​てはなりません。これを単一性の原則と言います。​

​​ 以上が一般原則となります。簿記検定には直接出題されませんが、会計の基礎的な知識となりますので覚えて損はないです。

5-2-1 損益計算書原則~費用収益対応の原則~

 損益計算書は、企業の経営成績を明らかにするため、一会計期​間に属する全ての収益とこれに対応するすべての費用を記載して​経常利益を表示し、これを特別損益に属する項目を加減して当期​純利益を表示しなければなりません。これを費用収益対応の原則と言います。​

5-2-2 損益計算書原則~発生主義の原則~​

 すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、​その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければなら​りません。これを発生主義の原則と言います。
 ただし、未実現収益は原則として当期の損益計算書に計上し​てはなりません。

5-2-3 損益計算書原則~実現主義の原則~​

 収益は、企業外部の第三者に対して財貨またはサービスを提供​し、その対価として現金または現金同等物を受け取った時点で認識​します。これを実現主義の原則と言います。

5-2-4 損益計算書原則~総額主義の原則~

 費用及び収益は、総額によって記載することを原則とし、費​用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによってその​全部又は一部を損益計算書から除去してはなりません。これを総額主義の原則と言います。

 以上が損益計算書原則となります。今後学習する減価償却費、未経過勘定を計上する上での根拠となりますので、必ず覚えてください。

5-3-1 貸借対照表原則~貸借対照表完全性の原則~

 貸借対照表は、企業の財政状態を明らかにするため、貸借​対照表日におけるすべての資産、負債及び資本を記載し、株​主、債権者その他の利害関係者にこれを正しく表示するもので​なければなりません。これを貸借対照表完全性の原則と言います。
 ただし、正規の簿記の原則に従って処理さ​れた場合に生じた簿外資産及び簿外負債は、貸借対照表の​記載外におくことができます。​

5-3-2 貸借対照表原則~総額主義の原則~​

 資産、負債及び資本は、総額によって記載することを原則とし、​資産の項目と負債又は資本の項目とを相殺することによって、その​全部又は一部を貸借対照表から除去してはなりません。これを総額主義の原則と言います。

5-3-3 貸借対照表の原則~区分表示の原則~​

 貸借対照表は、資産の部、負債の部、及び資本の部の三区​分に分かち、さらに資産の部を流動資産、固定資産及び繰延​資産に、負債の部を流動資産及び固定負債に区分しなければ​なりません。これを区分表示の原則と言います。​資産及び負債のl項目の配列は、原則として、流動性配列法​によるものとします。​流動性配列法とは、流動性のある資産から順に表示していく方法となります。

5-3-4 貸借対照表の原則~取得原価主義の原則~​

 貸借対照表に記載する資産の価額は、原則として当該資産​の取得原価を基礎として計上しなければなりません。これを取得原価主義の原則と言います。

5-3-5 貸借対照表の原則~費用配分の原則~​

 資産の取得原価は、資産の種類に応じた費用配分の原則​によって、各事業年度に配分しなければなりません。これを費用配分の原則と言います。

 以上が貸借対照表の原則となります。費用配分の原則は、資産評価を行う上での根拠となる原則ですので、必ず覚えてください。

6 おわりに​

 今回の記事は簿記を学習する上での基礎中の基礎となっており、なんだか物足りない気がするかもしれません。肝心の帳簿記入の方法が書かれていないですし。理論的な知識ばかりでした。次回以降は帳簿処理について学習していただきますので、今後も読まれる方は楽しみにしてください。​​

7 参考図書

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