逝ってしまった君へ 感想その1

1年前に読むも、書きたい事が沢山あってまとめられず1年経過してしまいました。


先に書きますが読んで良かったです!
とても読みやすく心にスルスル入って来て沈澱し、それからずっと私の心の底から出て行かないです。

心に残ったページや思った事をメモしていたので、再読しつつ感想を書こうと思います。
それは本書にもある"感じた事をありのまま書いておきたい"から。
色々と自分語りで脱線するとは思いますが、浅野さんにこの感想が届きますように。
(ブログみたいな物なので大した文章じゃないですが。)




本書を読んで"君"がどういう方だったのかを知っていくと、"浅野さんがラジオで話す好みの男性まんまな方だなぁ"という印象を受けました。
なるほど、だからラジオでよく"頭のいい人が好き"、"前向きな人が好き"って言ってたんだ。
だって本書を読むだけで、浅野さんがお付き合い時から"君"をよく見てよく考えて心から尊敬していたのがわかったので。
第三者から見ると苦しい事でも、それを楽しんで乗り越える"君"に強く憧れを抱かれたんだろうなぁ。

本書を読むと、浅野さんが"君"を好きになられたのがよくわかります。


私も貧乏な家庭だったため昔から浅野さんの貧乏トークに共感しつつ、それを面白可笑しく話される姿を尊敬していました。

憧れ過ぎて浅野さんの出身大学に通いたいとさえ思っていたのですが、お金が足りず諦めました。
こう書くと浅野さんみたいに奨学金で~と思われそうですが、そもそも試験を受けるための三万五千円が出せなくて全て無かった事にするしかなかったのです。
あの時の担任の"普通は三万五千円くらい出せるんだけどね"の一言に、"まぁそう思うのが普通なんだろうけど本人直に言わなくても…"と少し傷ついた事や、話しても無駄だし面倒だから初めから無かった事にしようと、無理矢理笑いながら諦めた時の気持ちを本書を読んで思い出しました。

また、中学の時、体操着が買えなかった事も今の私だったら"お金なくて~"と笑って言えるのに、浅野さんが書かれている様に貧乏な事がとにかく恥ずかしくて、"体操着を注文したのが遅くて…"と嘘をつくしかなかった事も思い出しました。
今にして思えば犯罪じゃあるまいしハッキリ言って良かったのに、プライドが高かったのかしら…?
読みながら共感したりそれに引き摺られてその時の自分の心情を深く探そうとし出したりして、"今は浅野さんの話を読んでいるんだ!"と忙しかったです(笑)




告別式のお話で"君"がどう亡くなられたのかがハッキリと見えて、無関係な赤の他人の私でさえも"あぁ…"と一瞬時が止まったような気がしました。



"価値観が似ているから心の形や強度も似ている"、その勘違いは親子間にもある物で……。

"皆それぞれ、一人一人違う生き物"なんてよく使われている言葉でその意味を理解している筈なのに、近しい存在になると"自分と同一に違いない"と祈りの様にそう考えてしまうのはなぜなのでしょうね。



告別式後、浅野さんが"君"への個人的な願望や解釈を、もう存在しない"君"に乗せようとしていた事に気づき焦りを感じられたところで"ああ、確かに人間ってそうやって生きているかも"と納得しました。
過去の悲しい出来事やトラウマが形を変えて癒えたのなら、それも乗り越えた内のひとつだと思うので良い事だと思います。
私も進学出来なかった事を"悲しいだけの話"としてはもう思っていません。
意識無く自ら色々と加えたり引いたりして、あの時の気持ちとは別物になっているのでしょう。

でも、手付かずのままで保存して置きたい事があるのもとてもわかります。
二度と会えない別れなら尚更。


浅野さんが"君"を失った痛みがいつかは癒えてしまう事に悲しみを覚えていましたが、飼い猫を亡くした時に全く同じ事を思ったなぁと共感しつつ、読みながらあの時の気持ちを思い出そうとしていました。
(当時"アニスパ!"での浅野さんと鷲崎さんのトークに笑わせてもらい、どれ程助けられたか…。)

それでもきっとその時と全く同じ痛みや気持ちは思い出せていないんでしょうね。
今となってはそれで良いと思えますが。



遺品整理での"笑いながら思わず泣いてしまったとしても"という感情もとてもわかります。
"楽しくて嬉しい思い出"が沢山あって、でも"その思い出が思い出のままもう更新されない悲しさ"と、両極端の事が一気に押し寄せてくるんです。
数秒前まで楽しかった事を思い出して笑っていたのに、突然もうそれは全て過去であるという悲しみを認知して涙が出たり…気持ちが忙しくなります。



浅野さんが"君"の事を思い出される時の明かりのついた部屋を目指して帰る話…その様が頭に浮かんで涙が出ました。
その時の浅野さんの心情や目に入った景色、夜遅くてももっと言うと冬でも、とても温かかった事でしょう。
私は本書でこの178pが一番好きで、心の中で反芻しています。



酷かもしれませんが、いつか浅野さんが全て乗り越えた後の文章も読みたいなぁと思いました。

とても素晴らしい本で、国語の教科書で抜粋されたら良いのに!


あと、貧困家庭の学生に"お金がないならアルバイトして買えば良いのに"と思ってる人も、この本を読みなさいって思いました。
(自分の稼いだお金が自分の物になる訳ないじゃないか…。)


読んでいて他にも思った事が沢山あるのですが、長くなるので別記事に続きます。

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