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生きる才能がないなんて、私が絶対言わせない。

武瑠さんの「センチメンタルワールズエンド」を読んだ。色々考えさせられるというよりは、ここ数年ご時世的な理由もメンタル的な理由もひっくるめて、想像力と余裕を失っていたことを、改めて突き付けられた。なんというか、立ったまま見る悪夢で倒れそうになっていたところを、後頭部を鈍器で殴られて我に返った気分。言葉がナイフと言われた時代はもう過去の話で、今や言葉は鈍器でしかないのかもしれない。もしもこの先、今以上に言葉が刺すことより殴ることに特化された世界になっても、適切な処置のために振るえるナイフとしての「言葉」は持ち続けていたいなあと。そう思えただけでも、この本を読んでよかったと思える。

武瑠さんの描く闇は、寄木細工の秘密箱みたいなパンドラの箱。開け方にコツがいるし、そもそもこれちゃんと希望入ってるのかと思うこともある。それでもその闇が、私の自尊心を守るために入るカプセルであることは、SuG時代も、今のsleepyheadでの活動でも変わらないんだなって。だから、他人の闇を軽々しく値踏みしようとしたり、持病に対してその設定よこせとか言ってくる連中には、胸を張ってちょっと口角を上げてやればいいのだ。

「酩酊」って状態を指す言葉であって、するされるという次元で使う言葉ではないはずなんだけど、その矛盾を突っ切って意味を持たせられる武瑠さんは、やっぱりすごいなあって思うのです。

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