漫画万歳!(23) ~レベレーション~
山岸凉子という漫画家はご存じでしょうか。萩尾望都・大島弓子・竹宮惠子らと共に「24年組」と呼ばれる少女漫画界の革新派、今となってはみな大作家と呼ばれる人たちです。少女漫画界初の本格バレエ漫画『アラベスク』、超能力と霊能力があり、おまけに同性愛者という聖徳太子を描いた『日出処の天子』、遺跡発掘に生涯をかけた考古学者の物語『ツタンカーメン』、2007年に手塚治虫文化賞の漫画大賞を受賞した『舞姫 テレプシコーラ』など、バレエ、霊能力、歴史的人物を長編、短編で描いてきました。本人曰く、最後の長編となる『レベレーション(啓示)』が2014年から『モーニング』で連載、ついに2020年10月に完結しました。
山岸凉子の作品は、独特なタッチで甘さを許さないような部分があり、好みがわかれるところです。扱うテーマも読者を選びそうですが、読み始めたらたちまち山岸凉子の世界にハマってしまいます。
『レベレーション(啓示)』は、田舎の農家の娘だったジャネット、のちのジャンヌ・ダルクの物語です。フランスの王位継承をめぐるイギリスとの百年戦争で、「フランスへ行け、王を助けよ」という神の啓示をうけ戦争に参加、連戦連勝を繰り広げ、王太子の戴冠式をランスで行うまでになります。
しかしコンピエーニュの戦いで捕虜となり、身代金と引き換えにイギリスに引き渡され異端審問にかけられます。ずーっとハラハラしながら読みましたが、最終第6巻の異端審問の様子は圧巻です。神のお告げで英雄になるなんて、まるでお伽話の架空の人物のように感じていたジャンヌ・ダルクですが、歴史上にたしかにいたのだと衝撃を受けながら読みました。高校時代に読んでいたら、世界史の授業がもっと楽しく、試験の成績がもっとよかったかもしれないとつい思ってしまいます。宗教心がないからか、こんな感想しか書けない自分が情けないですが…。