歩きながら決めたらいい

無意識を意識してしまった瞬間に、無意識は跡形もなく溶けて消えてゆく。

足あとがすぐに消えてしまような、風が吹く砂浜を歩く。歩みを止めて海を見ていれば、足の裏に足跡は残り続けるけれども、海を眺めているだけでは満足できない性分が、前へ前へと駆り立てる。

海水に足が浸ったときにどうするかは決めていなかった。それでも一歩ずつ乾いた砂の上へ足を踏み出す。

最後は服のまま飛び込んだっていいやと今は思える。
ずぶ濡れになる覚悟は76号線から海が見えたときに決まっていた気もする。

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