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「論理学のすゝめ」という話

まえがき


 本稿では「論理学」を取り上げているわけですが、論理学は義務教育で習うような学問でもありませんし、大学で必須の学問という訳でもないので、おそらく、「論理学とは何ぞや?」と言う人も多いでしょう。そこで本稿では「論理学とはこういうものだよ」という基本的な論理学について書いていこうと思います。

 「論理学なんて自分には必要ないや」と思っている人もいらっしゃるかもしれませんが、日常的にも論理的な思考力は必要です。特に、言葉を扱って人に何かを伝えようと考え、noteを使っている人は多いでしょうが、そのような人たちが全くもって言葉を論理的に使っていなければ相手に伝えたい主張も伝わりません。「自分は論理的だから」と思っている人も本当に自分は論理的なのか、論理学を知ることでわかると思います。論理的であるとはどういうことか、論理的になるにはどうすればいいのか、おそらく日常でも論理学は役に立ちます。その論理学の凄さ、面白さを本稿で示せればと思います。


第Ⅰ章:「論理」とは

 論理学はその名の通り「論理」を研究する学問です。私たちは日頃から「あの人は論理的でステキ!」とか「お前、もっと論理的になったらどうなんだ!」とかそういった「論理」という言葉の使い方をしていますが、そもそも、「論理」っていったい何なのでしょう。哲学者の野矢茂樹は次のように説明しています。

 おおざっぱに言えば、「論理」とは、ことばとことばの関係の一種なのです。(中略)ことばとことばをきちんと関係づけて使うひとは「論理的」で、そのときそのときの思いつきで脈絡なく発言するひとは「非論理的」ということになります。
(野矢茂樹 『入門!論理学』)

 言葉と言葉にはきちんとした関係があります。その関係についてはこれから各章で説明していきますが、そのきちんとした関係に基づいて言葉を使う人が論理的であると言えます。反対に、きちんとした関係に基づかないで言葉を使っている人は非論理的であると言えます。

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