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MGCファイナルチャレンジに出場する選手について紹介

はじめに

皆さま、新年明けましておめでとうございます(?)

多忙による執筆意欲の減退(要はサボり)により、2024年最初の投稿が2月にずれ込む事態となってしまいました。

ずれ込んだ影響として、第100回箱根駅伝の記事についてはタイミングを見て後日公開していこうと思っております。作成していたものは一旦お蔵入りとします。ご了承ください。

ここまでが新年のあいさつとしておきます。

さて、フルマラソンの日本代表選考会であるMGCファイナルチャレンジは、いよいよ2月末~3月中旬の大会ラッシュに入っていきます。

2月25日(日)→大阪マラソン(選考対象は男子のみ)

3月3日(日)→東京マラソン(選考対象は男子のみ)

3月10日(日)→名古屋ウィメンズマラソン

泣いても笑ってもこの3大会で、

男子→2時間05分50秒(まだ突破者なし)
女子→2時間18分58秒
(従来の設定タイム突破済 前田穂南2時間18分59秒/大阪国際女子)

を破った最速の選手がマラソン日本代表の3枠目に滑り込みます。今回は、以上の選考レースに出場する選手を少しばかり紹介しつつ、レースの展開を予想していきたいと思っています。

男子 選考レース出場者+α

男子
大阪マラソンと東京マラソンの出場者が半々に分かれた形となりました。

その中で、相葉直紀と二岡康平の中電工勢2名はWエントリーの戦法を取ったようです。確か、河合代二(トーエネック)がMGC進出を決めた時も、大阪と東京から東京を選び好走した記憶があります。Wエントリーは、コンディションやレース当日の天候を考えながら、出場するレースを直前まで熟考できるメリットがあります。

下記以降、各レースの注目選手と簡単なコメント、および展望を挙げます。まとめコメントはありませんので、以後は淡々と、選手や大会へのコメントをご覧ください

大阪マラソンの注目選手

大塚祥平(九電工)

現役選手中トップクラスの安定感を持つ。2019年MGC4位、2023年は8位と、男子で2人のみの2大会連続MGC入賞者(もう1人は大迫傑)。現在出場4大会連続サブテン。去年大阪で2時間06分57秒PB。

聞谷賢人(トヨタ紡織)

初マラソン(別府大分)で2時間09分07秒。フルマラソン7回中4回の2時間07分台。2023年MGCでは16位に沈むも、それまでの6レース全てで10位以内に入るなど、優勝争いの風景を常に見ている選手と言える。

吉岡幸輝(中央発條)

初マラソンと2度目が同タイムという珍しい経歴の持ち主(2時間10分13秒)。前回の大阪で2時間07分28秒を記録し、初サブテンはおろか初サブ8まで達成。今回は招待選手として2年連続の好走を狙う。

小山直城(Honda)

初マラソン(東京)で2時間08分台を記録。2023年MGCを2時間08分57秒で走破し優勝、パリ五輪日本代表に内定。去年7月のゴールドコーストも優勝(2時間07分40秒PB)と現在マラソン2連勝中。1年間で4度目のフル挑戦。

市山翼(サンベルクス)

去年の別府大分で日本勢トップとなり、自身2度目の2時間07分台を記録。複数の実業団を渡り歩き、サンベルクスは自身3つ目の所属。地方スーパーから日本代表が生まれる、その光景が見られるかもしれない。

丸山竜也(トヨタ自動車)

自己ベストの2時間07分50秒は海外(ベルリン)で記録。環境に関係なく思わぬタイミングで大記録を出しそうな選手。去年10月のMGCは疲労骨折の影響で欠場。家業を継ぐために実業団選手を一時引退した珍しい系列を持つ。

土井大輔(黒崎播磨)

初マラソン(びわ湖毎日)でいきなり2時間08分13秒を記録。前回の大阪では2時間07分55秒PB。フルマラソン参戦は5回も、出場したレースで確実に上位へ顔を出してくる職人型の選手といえる。

鎧坂哲哉(旭化成)

狙ったレースは外さない、トラック、ロード共に安定感の優れた選手。かつて大迫傑(Nike)の練習パートナー。30歳を過ぎてからフル本格参戦も全く関係なく、2023年MGCでも11位。初マラソンは2018年(メルボルン)。

その他注目選手
足羽純実(Honda)
→初マラソンで2:07:54/2021年びわ湖、23年防府読売3位2:08:40
中村匠吾(富士通)
→東京五輪日本代表

展望

去年、一昨年と、トップと上位選手との差が非常に小さく、悪く言えば決定的に引き離せるポイントが少ない、よく言えば去年のような接戦&ハイペースなら多くの選手に好タイムのチャンスとなるかもしれません。恐らくペースメーカーは1km3:00を切って1km2:58程度、MGCファイナルチャレンジ設定記録超えの設定になりそうです

コースの一部変更により、折り返し地点が3ヵ所に減り、瀬古利彦氏によると「30秒は速くなる」と語っています。よって、今大会見据えるのは大会記録(2時間06分01秒)なのは間違いないでしょう。30秒縮めれば2時間05分31秒、外国人を含めても優勝争いに最後まで加われば、上位入賞そして設定記録2時間05分50秒超えが見えてくるはずです。

東京マラソンの注目選手

直近3レース以内に2時間08分00秒以内+トップ8経験ありの選手を挙げます

鈴木健吾(富士通)

マラソン日本記録保持者(2時間04分56秒)。2022年東京でも2時間05分28秒を出しオレゴン世界選手権代表に選ばれるも体調不良で欠場。以降は怪我や不振でMGC出場がやっとの状態。再び東京で輝けるか注目。

山下一貴(三菱重工)

昨年の東京マラソンで日本歴代3位の2時間05分51秒を記録し、ブダペスト世界選手権では終盤に痙攣を起こすまでメダル圏内にあと一歩まで近づく。2時間05分51秒はMGCファイナルチャレンジのターゲットタイムでもある。

其田健也(JR東日本)

同じく昨年の東京マラソンで2時間05分59秒を記録し、この時点で5レース連続PBを達成。世界選手権とMGCの連戦は流石に堪えてそうだったが東京は2度出場し2度とも入賞(2022年7位、2023年8位)と相性が良い。

細谷恭平(黒崎播磨)

2度目のマラソン(びわ湖)で自己記録を22分以上縮める2時間06分35秒で周囲を驚かせる。3度の2時間08分台を経て昨年12月の福岡国際は2時間07分23秒の4位。MGCファイナルチャレンジ唯一の2度目の挑戦。

西山和弥(トヨタ自動車)

初マラソン日本最高記録保持者(2時間06分45秒/2023年大阪)。一方でブダペスト世界選手権は42位に沈む。栄光と挫折を味わった。右臀部の痛みから練習を積めていないというが、どこまで復調できているか注目。

木村慎(Honda)

2020年東京を2時間07分20秒で走った後、3年ぶりのフルマラソンとなった別府大分で2時間07分55秒を記録しブランクを感じさせない走りを披露。

西山雄介(トヨタ自動車)

2022年別府大分で初マラソン初優勝の快挙を果たす。ブダペスト世界選手権でも13位と健闘(2時間08分35秒)。MGCでは46位に沈むも、初マラソンの時のスピードが戻ればもう一皮剥けるかもしれない。

その他注目選手
定方俊樹(三菱重工)
→今回は弟の定方駿(マツダ)も参戦予定
横田俊吾(JR東日本)
現・マラソン日本学生記録保持者(2:07:47/2023年別府大分)
浦野雄平(富士通)
→初マラソンで2:07:52(2022年大阪)、MGC10位2:10:41
服部勇馬(トヨタ自動車)
→東京五輪日本代表

展望

まずは、元・世界記録保持者で五輪2連覇中のE.キプチョゲが参戦してきます。2021年以来2度目の出場、前回も東京マラソン→五輪の流れで金メダルを獲得、今回も記録と順位の両方で最速を狙ってくることでしょう。ペースメーカーは1km2:55/1km2:58/1km3:01~02程度が想定されます。世界記録保持者の参戦によりペースを保ちにくくなるデメリットはありますが、最高速の先頭集団に着く選手も出てくるかもしれません。

2020年大会は17名、2022年(表記は2021年大会)は10名、2023年も13名のサブ8が誕生しています。序盤は大きく下り基調で、以降は東京駅前のゴール地点までほぼフラットと、単純な高速コースと言えます。前回は中間点を1時間02分00秒台で通過しており、今回は玉砕覚悟で1時間01分台で走る選手が現れてもおかしくないでしょう。

女子 選考レース出場者+α

女子
ご存知の通り、大阪国際女子マラソンで前田穂南が日本記録を更新しました。それによって派遣設定タイムが2時間21分41秒→2時間18分58秒へググっと上がり、選手は難しい調整を迫られる事となりました。大阪国際と名古屋WとのWエントリーは無く、「新しく設定されたタイムを破る」シンプルな目標へ向かってMGC組7名を中心に展開していくでしょうか。

名古屋ウィメンズマラソンの注目選手

細田あい(エディオン)

自己記録は2022年Londonで記録した2時間21分42秒。去年の東京で2時間22分07秒。MGCでは3位に入り、設定記録を破られなければ日本代表入りだったが、前田穂南が突破。更なる記録更新で日本代表入りを狙う。

鈴木亜由子(JP日本郵政グループ)

”天才”と呼ばれた若手時代。東京五輪から1年後、Berlinで2時間22分02秒と覚醒。半年後の名古屋Wで日本勢トップの2時間21分52秒へ更新。トラックやロードで実績を積んできた”天才”が集大成に臨む。

加世田梨花(ダイハツ)

初マラソンは一山麻緒と同じ東京(2023年/2時間28分29秒)。次走のBerlinで2時間21分55秒へ更新。ブダペスト世界選手権を経てMGCでは4位に。連戦でも落ちないクオリティで、五輪代表まで突っ走れるか。

安藤友香(ワコール)

初マラソン(2017年名古屋W)で2時間21分36秒の鮮烈デビュー。その後も3度2時間22分台を記録するなど長きに渡り活躍してきた。MGCでは9位に沈むも、後半の失速を乗り越えれば更なる好タイムが期待できそう。

渡邊桃子(天満屋)

去年の大阪マラソンでいきなり2時間23分08秒を記録。マラソンの名門・天満屋陸上部のホープ。国内選考会へ向けた調整力にはノウハウがあり、なおかつ先輩の前田穂南が代表入り有力。”チーム内競争”を勝ち抜けるか。

展望

ゴール地点がナゴヤドーム内という特殊さ、レース終盤の急坂と、国内では比較的難易度が高い。しかし、2020年には雨模様のなか一山麻緒が当時の国内レース日本勢最高記録を樹立している(2時間20分29秒)。直線が多く、見通しが良いため前方の選手を目標にしやすいのも特徴のひとつ。

ここ2年はR.チェプゲティッチ(ケニア)が2時間17分18秒、2時間18分08秒でゴール、近年は2時間20分切りの決着が当たり前と、高速化が進む女子マラソン界。今年の決着も例外ではなさそうか。日本の招待選手、特に上位3名は初マラソンから期間を開けず2時間21分台の自己記録を作った。加えて、日本記録が2時間18分59秒へ更新されたので、日本勢1人もしくは複数人の「サブ20」が見られるかもしれない。


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