いいなの理由

これは、私なりにカメラの”なんだかいいな”を見つけたお話です。

カメラに関することを、敢えて画像なしの散文で書いてみたいと思います。どうかお付き合いください。


なんだかいいなと初めて思ったのは2009年。

出会いはデジカメWatchさん辺りだったと思います。写真を楽しみたいけれどデジイチを買う勇気はない私は、ハイエンドコンデジの比較サイトを漁っていました。勿論Foveonなんて名詞は頭の中の辞書にはありません。

ただ、APS-Cサイズのセンサーがシンプルな四角いボディに載っているじゃじゃ馬なカメラ、と書かれたそのカメラの出で立ちにグッときたのです。

標準画角の方が写真の勉強になる、なんて言葉に踊らされて、、、お分かりですね、DP2です。

予め購入しておいたカメラの封を大学の卒論を書き終えると同時に開け、まず驚きます。
思ったように撮れない、jpegは使い物にならない、RAW現像処理重スギィ!!

でも、幸運にも、たった数枚ですが、素人なりにグッとくる写真が撮れたことで、私は取り憑かれたように街を歩き回り始めます。環境変化への不安からくる気分転換の欲求もますますそうさせたように思います。

これはまだ、Merrill世代が発表される前のことです。

コミュニティは大きくありませんでしたがですが、SIGMAユーザはTwitterで気軽にフォローしあってトピックや作例を共有していましたから、不思議と一人でいる気はせず。福井信蔵さんにTwitterで写真をリツイートいただき、舞い上がった勢いで生意気にも「75mm画角でDP3作ってください #SIGMA 」という趣旨の発言したこともありました。

後日発売され度肝を抜かれましたが、いまだにdp3には触れておりません。自身の環境変化のタイミングと予算管理の都合、永遠の憧れと化しております。、、、少々脱線しました。
 
さて、DP2にどハマりした私は、勢いそのままにD7000を経てSD1 Merrillという重機に手を出しました。”付けっぱなし”にしたレンズは50mm EX DG HSM、王道ですね。そしてもう一台、DP1 Merrillを導入しました。

コンデジを使っていた頃は換算35mm始まりのカメラを愛用しており、28mmは使ったことがありませんでした。一種の憧れを持っていたので、発売日に会社を早退してまで買いに行きました。それはそれは興奮したものです。

ところが、この頃から私は悩み続けることになります。撮っても撮っても、何かが違うけれど何かがわからない時ってありませんか。

念のため、Merrillセンサーの名誉のために書いておきますが、好天時や長時間露光などで適切に光を与えたときの仕事は恐らくQuattroセンサーより上をいきます。度肝を抜かれます。これは揺るぎのない事実です。

Merrillセンサーのポテンシャルに自分が追いつけなかったからかもしれません。ただ、事実としてつい最近まで、Merrillセンサーは私にとって悩ましい存在であり続けました。納得できるカットがなかなか撮れなかったから。

もやもやを抱えたまま、新婚旅行を最後に、私はシステムの軽量化を狙ってSD1MerrillをFUJIFILM(Xシリーズ)に鞍替えしました。子供も生まれ、DP1Merrillの運用も徐々に減って、フィルムシミュレーションを楽しむ日々。

そんな昨今、何年ぶりでしょうか、ふとしたきっかけで実家に置いていたDP2を手にしました。

写真を「始めた」頃の感覚を思い出したくなって、DP2を子供に向け何枚かシャッターを切りました。そして出来上がった写真に懐かしさだけではない、なにか「期待通り」の満足感を感じ、ハッとさせられたのです。

求めていたものは「解像感」ではなく「滑らかな色表現」だったことに、ようやく気づいた瞬間でした。細かいことを言えばその後私の好みはアンダーの粘り方によると分かったのですがそんな細かいことは置いておいて、、。

シグマのカメラにはFoveonという、とても解像感のよいセンサがあります。そのキャパに光を収めた時の色付きは随一です。しかし、Merrill世代は絵づくりの仕様上エッジが立ちすぎることと、ピッチの狭さゆえ白飛びやノイズが多かった。これが特に肌の表現に関わります。改めてMerrillで子供を撮影して痛感しました。難しすぎる。

そこで私は、撮影設定をLOWモードに変えました。DP Merrill世代以降ののRAW撮影にはHIGH, MIDDLE, LOWの3モードがあります。主に画像サイズに関わる設定ですが、LOWモードは4ピクセルを仮想的に1ピクセルとみなすため、階調表現がとても滑らかになります。(quattroシリーズも4:1:1ピッチを仮想的に1:1:1にすることで、階調表現が豊かになる仕組みになっているようです、すごい)

どうか「え?それだけ?」と思わず。Merrill以降の世代をお持ちの方には是非お試しいただきたい設定です。そして、PCで少し拡大してみてください。もしくはプリントしてみてください。画像サイズの小ささはあまり気になりません。そこにはもしかしたら、”なんだかいいな”があるかもしれません。

いかがでしたか。

記録としてのカメラはスマホで十分だと、近年の進化を見ると思います。私の場合、カメラを使う意義は記憶に残る1枚を切り取ることでした。必要なのは解像感ではなく(と言うと語弊がありますが)、「自分の気持ち」を切り取る色づかいだったというお話です。

楽しみ方は人それぞれ、ということですね。

このような機会ですから、是非皆様カメラとの出会いや再発見を共有できれば、と思い投稿しました。皆様のポストもこれから楽しみに拝見したいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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