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「機械人形 "P"ly(プライ)」


〜ある絵本〜

街の外れにとっくに閉じた鉱山がある。


昔は石炭を沢山ほりだせていたけど今は全然出てこない。


そんな鉱山に、今でも働く機械の従業員がいる。

彼の名前は"プライ"。

プライは今から随分昔に造られた。

まだ街には活気があって沢山の人がいて、鉱山で働く人も沢山いた、毎日、色々なことが起きていた。

プライは毎日が楽しかった。

プライは機械だから疲れることを知らない。
朝は一番早くから働いたし、夜も一番最期に休む。

沢山石炭が取れたら、沢山褒められた。
プライはそれが嬉しかった。

ある日
鉱山で働いていたおじいさんがこんなことを言った。
「何だか、石炭が前よりも少なくなったな」
働く人たちの顔色が何だか暗くなり始めていた。

プライはその日も一生懸命働いて、沢山石炭をとった。 

またある日おじいさんが言った。
「だれか、石炭は掘出せたか?」
もうこの頃になると、働かなくなった人もいた。

プライはその日も一生懸命働いて、少しの石炭をとった。

またまたある日、おじいさんが言った。
「石炭がまったく出てこない。」

プライはその日も一生懸命働いたが、石炭は1個しか取れなかった。

次の日、綺麗なスーツを着た人が鉱山にやってきた。
皆、その人の話を聞いた後、わんわん泣いていた。

プライはいつも通りに一生懸命働いた。
石炭は出なかった。

ある日プライは鉱山に一人になった。
それでもプライは朝から晩まで一生懸命働いた。

あれからずいぶん経ったが、まだプライは働いている。

今日も石炭を掘り当てようと、山を穴だらけにする。

きっと明日もそうしている。