立憲民主党の政権公約についての感想

立憲民主党が衆議院選挙に向けた政権公約を段階的に発表しています。

そのうちのいくつかについて考えてみたいと思います。

「多様性」に関して

 9月13日に発表した第2弾において、選択的夫婦別姓制度の実現や、LGBT平等法の制定、同性婚の法制化を打ち出しました。

 これは率直に評価したいです。

 なぜなら、自民党政権では実現できないことだからです。

 もちろん、自民党内にもこれらの政策を推進する方がいらっしゃることは知っています。しかし、一方で、強く反対される方もおられ、かつそうした方々が党の要職にあり政策決定に影響をもっています。

 選択的夫婦別姓制度は、今から25年前の1996年に法務省の法制審議会が民法改正要綱案を答申しました。法制審議会が答申するということは普通であれば実現しておかしくないことなのですが、与党内の反対が強く、見送りとなり続けてきました。

 つまり、自民党は実現する気があるのならいつでも実現できたのにしていない、ということなのです。

 選挙というのは、相手があるものです。相手ができないこと、欠けていることをこちらがやるということで、互いに切磋琢磨し、政策が実現していく。そういう政治であるべきです。

 司法も動かない中、この問題はもはや民主主義の力で、選挙で進めるしかない状態です。公約として掲げ選挙に臨み、政権をとることができれば、それを民意として進めることができます。

 総選挙でも堂々と掲げ、議論してほしいと思います。

住居・住宅政策について

 9月22日に発表した第4弾では、低所得世帯向けに住宅手当を支給することや、みなし公営住宅の整備、ひとり暮らし学生への家賃補助などを打ち出しました。

 住まいに関する政策はこれまで日本では、住宅ローン減税など持ち家の奨励に重きが置かれ、社会保障・セーフティネットとしての側面が軽視されてきました。

 しかし、安心して働き、生活をしていくためには、「住」が安定していることが不可欠です。

 立憲がそこに焦点を当てた政策を出してきたことは、大変評価できると思います。

 できれば、他の党も真似をして、住宅政策を競ってほしいと思います。

経済政策について

 9月27日発表の第6弾では、「分配なくして成長なし」「みんなを幸せにする経済政策」として、年収1000万円以下の所得税実質免除、低所得者への給付金、時限的な5%の消費税減税を打ち出しました。

 また、医療や介護などの「ベーシック・サービス」の充実、同一労働同一賃金の法制化、最低賃金1500円も掲げています。

 これらのうち、ベーシックサービスの充実は評価できますが、減税ははっきり言って、反対です。筋が悪すぎます。

 公約では、財源として、1)法人税への累進税率の導入、2)所得税の最高税率引上げ、3)金融所得課税の強化、で捻出するとしています。

 当然ですが、減税とベーシックサービスの充実を、これらの増税だけで到底まかなうことはできません。残りは国債ということになります。

 私は「分配」は必要だと考えています。

 しかし、分配は減税ではなく、給付やサービスで行うべきです。枝野代表は、減税の恩恵の少ない層には給付をするとおっしゃっていますが、それなら最初から給付金にすべきです。

 減税で恩恵を受けるのは、所得の多い層です。所得税も消費税も同じです。富裕層には課税強化するとのことですが、それは余計に格差と分断をもたらすのではないでしょうか。 

 私が何より残念なのは、「お互い様」の社会という考え方が消えたことです。立憲がめざしてきたのは、富める人もそうでない人も困ったときには「お互い様」の精神で助け合う、そんな社会であったはずです。

 ですが、この公約は、大企業や富裕層をターゲットとして、社会の分断を煽り、財源なきバラマキをして大衆の歓心を買おうとしか思えないのです。

 今からでも考え直してほしいと思います。

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