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読了のおっさん30 灼熱カバディ(武蔵野創/マンガワン・裏サンデー)

今日も、おっさんが全巻読んで面白かった漫画をご紹介です。
個人の感想であり、感じ方はそれぞれなれどご参考に。

概要的なネタバレは含みます。


灼熱カバディ(武蔵野創/マンガワン・裏サンデー)
2015年~ 既刊27巻(2024年4月現在)

① タイプやテーマなど
 少年漫画、カバディ、新しいスポーツ、模索、チームワーク、戦略・戦術、高校生、求道、勝利、友情、LGBT

② 簡単な内容
 中学時代、将来有望なサッカー選手として期待を集めていた宵越達哉は、スポーツ全般に嫌気がさして動画配信者になってた。
 サッカー部ほか、運動部から勧誘を受ける度に断り続けるも、カバディ部の畦道相馬の熱意(と副部長井浦の謀略)によって、カバディ部に入部することとなる。
初めはマイナースポーツと馬鹿にし、乗り気ではなかった宵越だったが、カバディの奥深さや、生来の勝負への熱量、元々トップクラスのスポーツマンであったプライドなどから、徐々にのめり込んでゆき、エースの攻撃手を目指して、仲間やライバル達と共に努力を重ねていく。

③ 読みどころ
 読み進めていくと、何処をめくっても名勝負、全てのページが名シーンと思う。攻防に伴う駆け引き、ギリギリの勝負の描写が見事である。キャラクターの描き方が特に力が入っており、迫力ある表情や躍動感のある動きが楽しい。時にはページを目一杯利用して熱い瞬間が大きく細かく描かれているところがあり、スポーツ漫画の良さが爆発している。
 かなり丁寧にルールや、試合での見どころを漫画を通じて伝えたいという作者の意思も感じられる。
 カバディは、存在は知っているけど詳細はよく分からないという人が多いようにも思う。故に、ガッツリ分かりやすくこれらが伝わってくるという点では、教養としても非常に良い。スポーツモノはちょっと。。。と食わず嫌いする人も居る(かつてのおっさんもそうだった)が、近年注目を集めつつある新感覚のスポーツであることから、メジャースポーツファンとの温度差が気になる人でも、ある意味取っつきやすいように思う。
 ストーリーとしては、トレーニングや連携、選手同士の因縁といった、積み上げてきたものが試合の中で見事に消化されていく展開が本当に面白い。展開に絡んでちょいちょい過去回想を挟むこともあるがテンポは非常によく、選手の癖や行動の裏打ちとなって物語を盛り上げている。また、逆にその裏打ちからの逆展開という意表を突いたプレーや、選手の成長もあり、キャラクターの描き方と合わせて、毎話の感動を生む。

④ 雑多な感想
 最初9巻ぐらいまではカバディの世界自体に読者が慣れるのに必要と思う。役者が完全に揃い切るのもこの辺で、人によってはここまでに辛くなる可能性もある。だが、そうは言っても、面白いので読めると思う。逆に9巻までゴリゴリ読めば、その先はすごい面白い漫画だと、好印象の方に大きく触れることと思う。
 是非9巻、いや、10巻ぐらいまでは、しっかり読み遂げたいと思うところ。
 高校生の学園ものでもあるので、箸休め的なストーリーも時々出てくる。スポーツ用品を買いに行きドタバタ。チームメイトのデートを尾行してドタバタ。学園祭でドタバタ。
 カバディ外の鬼ごっこ的な遊びに興じることもあり、スポーツ選手以外の一面を見せつつの笑える展開が続くなど、時々挟まれるこうしたストーリーも楽しい。

 キャラクター一人一人の個性は、こうしたプライベートでも浮かび上がるが、やはり各々に背景や性質があって、それを紹介するシーンやエピソードの数々も見逃せない。
 主人公の宵越は元サッカー選手であるが、転向組と呼ばれる、他のスポーツから移った選手は他にも出てくる。また、世界組とよばれる、過去に世界大会に出場した経験のある強者といった、ハッキリとしたカテゴライズもまた、分かりやすくて良い。

 その他にもパワー、スピード、技術のどれが得意であるかの分け、真面目、優しい、楽観的、ヤンチャ、臆病といった性格の違い、喧嘩経験や過去誰と関りがあってどう成長化したかといった、細かい個性(キャラクター)が作中にこれでもかと多様に出てくる(LGBTも居るのだ)。
 しっかりとその個性を描き切っているのも好ましく、この個性の違いがぶつかり合う試合展開だからこそ、より面白い。


⑤ その他
 アニメ化もされている。話数は少ないまま続編が無いので、そこまで人気は出なかったのかもしれないが、スポーツは動きがあってこそとも思うので、今度見てみたい。
 
また、

 7月に完結予定で、5月末からマンガワンにて無料で全話公開されている。おっさんも友人のナオチャンに勧められてこれを機に全話攻略を始めた。



 紙で19巻まで所有していたが、やはり電子と紙だと紙の方が好きではある。特にスポーツモノであると細かいところまで目を凝らして見たくなってしまうのと、
 本作はカバディの世界(ルールなど)をある意味イチから解説している作品で、そこそこテキスト量も多いので、やはり紙が目にも優しく見やすいなと思うところである。

 ともあれ、恐らくカバディ漫画といえば灼熱カバディであると、ずっと言われ続けるような名作ではあると思う。
 バスケと言えばスラムダンクみたいに、いつか迫力ある試合展開で映画にならないかなと妄想したりもする。
 話が逸れちゃうけど、スラダンの映画は非常に良かったので、灼熱カバディもどうしても、比較してその雰囲気と重ねるところがある(とても良い意味で)。

 まもなく完結ではあるが、そんなわけで、別メディアでの展開や、今後のリアルスポーツでのカバディの発展にも期待しつつ、何年か後にも何度も楽しみたい作品と考えている。

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