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彷徨うおっさん51 分断する男女(1/7) 恋愛至上主義+能力至上主義へと変遷? 

 最近は男女の分断が進んでいる。女性は社会においては「女性差別の撤廃」と称して、雇用や昇進の機会を平等にすること、育児との両立をよりスムーズにするための制度政策、所謂セクハラ全般について厳しく取り締まる風潮などを強めており、男性は様々な部分で襟を正さねばならず、是正のための逆差別まで生じるなど、妙に割を食う羽目になった。また、ほんの少々の発言や態度で、嫌われるどころか、社会的に抹殺すらされかねない恐怖すら出てきている(いきなり極端で過激なことを言っているが)。

 一方の男性もまた、MGTOW(Men Going Their Own Way:自身の道を行く男達)といった流れが徐々にブームになってきているとの報告もあり、近年、女性達が確立した(或いは単なる女性を利用した政治ごっこに、当の女性達が細かくNoを言わなかっただけかもしれない)これらある種の価値観や秩序に対抗して、女性と関わること自体を避け、自分の人生を謳歌しようという動きが見られる。

 先取り的な現象として「草食男子」「絶食男子」といった単語が、確か20年程前から使われ始めており、おっさんの若かりし頃にはもう、こうした時代は始まっていたのだと改めて振返るところでもある。

 こうした流れが相まって、男女の分断が現代は加速しているように思う。

 今回はそうした、分断する男女の様相について、おっさんの体験を交えながら考察していきたい。

<恋愛至上主義時代初期に生まれ、恋愛結婚という理想への追求を目の当たりにしてきたおっさん>


 まずはおっさんが生まれてから現在までの男とか女とかいう話に纏わる社会の雰囲気をぼんやり語る。
 ※あくまでおっさんの目で見てきた範囲の主観です。

 かつて1980年代から90年代ごろ、都会に生きる若者を主人公とした、恋愛や流行を題材にしたドラマが流行った時期があった。
 所謂トレンディードラマというカテゴリーであるが、この頃はバブル絶頂期であり、経済力や仕事の能力を活かしつつ、ドラマよろしく、男が女たちを泥まみれになって惹きつけようと努力し、女は男を何人も乗り換え、いくらでもえり好みしてという、恋愛至上主義の開放的な交際が前面に出てきた時代であったように思う。

 また、そうでなくとも見合い結婚もまだまだ普通に機能しており、男女とも何らかの形で結婚する人が普通とされており、結婚後は、多くの女性が家庭に入り、そのこと自体も文化的、時代的に問題なしとされていた。

 2000年代に入って、経済が斜陽の時代に入ると、派手な交際は嫉妬に変わった。また、芸能人の不倫がどうこうとやたらとゴシップが報道されるようにもなり、自由すぎるのもだらしないと見られる風潮が広がっていった。
 専業主婦を選ぶ人もだんだんと減ってくる一方で、男女交際のあり方に係る価値観は前時代の理想的部分のみを一部踏襲して先鋭化していった。

 即ち、経済的に厳しい時代にもかかわらず(いや、だからこそか)、恋愛と結婚については、男は際限なくモテる努力を求められ、女は際限なくえり好みをする時代になったように思う。
 しかも前時代のような泥臭さは好まれなくなり、男も女もクールに、あらゆる面で男女平等の意識を含ませ醸成された理想の恋愛探求の時代であった。

 恋愛結婚以外(見合いなど)は「ダサイ」だの、「好きな人と以外はあり得ない」だのと言う価値観も割と支持されるようになったように思う。
 見合いやマッチングサービスにも恋愛要素を経るのが当たり前。
 そして、男女が結び付く機会は、そうした先鋭化した恋愛にばかり傾倒していった時代にも思う。

<恋愛するだけでなく、恋愛の中身にも理想を追い求める時代へ>


 2000年代といえば、インターネットが爆発的に普及し、膨大な情報がやり取りされるようになり始めた時代でもある。テレビメディアは未だ健在の時代であったとはいえ、インターネット経由で大量の情報を貪りつつ、人々は幸福や真実をより細かく。高度に追求する動きを加速させていった。

 この時代のドラマや漫画作品の洗練された恋愛描写を前時代と見比べると、恋愛の在り様の先鋭化が良く分かる。ファッションや、エンターテイメントの選択、お金の使い方も派手であれば良いわけでもなく、かといってケチなのも嫌われる。

 具体例を言うと、昔はドラマ「101回目のプロポーズ」のようなドラマ作品があった。101回も想いを伝える前時代的恋愛は、当時としては「一途、情熱的」と評されることもあったように思う。
 しかし2000年代にも入ると、そうしたアプローチは「キモイ、しつこい、ストーカー」と評されていたように思う。

 新自由主義的雰囲気が最高潮の時代でもあったので、仕事だけでなく恋もクールにできるかどうかが求められ、更に結婚生活・子育てを見据えて、実質的な部分においても益々、能力至上主義(稼げるかどうか・養えるかどうか)に傾倒し、
男性の努力の必要性、女性のえり好みが激化していったようにも思う。


次回に続く

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