ひと匙日記 桃

令和5年8月17日

 去年あたりからずっと頭の片隅にあった「桃食べたいな…」を叶える日がついにやってきそうだ。まだ叶えてはいないのは、今日、桃を買ってきたからだ。食べるからには美味しい桃を食べたい。しかし、桃には時期尚早という言葉がある。食べたい欲にかられうっかり皮を剥きかけた時、ことの重大さに気付く。「あぁ、時期尚早であった…」と。時すでに遅し、ガリガリと固い桃を齧らなければならない。(ガリガリ派の人も中にはいるかもしれないが…)。ぼくは近所のスーパーで買った二個入りの桃をマイバッグの中から丁寧に取り出し、冷蔵庫の上の電子レンジの上にそっと置いた。まだ、白いあみあみに守られている状態だ。目視の段階ではまだ食べごろではないと判断した。そっとあみあみを外し、数年ぶりにあの桃のざらりとした皮に触れる。見た目の可愛らしさから思わず頬ずりしてしまいたく桃ではあるがうっかりすりすりしようもんならほっぺがチクチクチクチクしばらく痛い。可愛いだけじゃないのよと言わんばかりの産毛がまたニクい。触診の結果も、やはりまだ食べごろではない様子だ。
 さぁ今日からぼくと桃の同棲生活が始まる。君を美味しく食べることがぼくのこの夏最後の目標だ。お互いに最高に夏にしようぜ。