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一次会と二次会のあいだ。

 「一次会と二次会のあいだのこの時間、なんなんでしょうね」
と言いながら、二次会の店を探してもらっているあいだの談笑はつづく。一次会で盛り上がっていた桃チームのかわいい子が、打ち上げにスペシャルゲストとして参加してくださった講師の方に「お父さんみたい」と話しかけてる場面を見て、わたしは内心ヒヤヒヤしていた。(お、お父さんて。いや、そうかも知れんけど、それご本人に言っても大丈夫なんかな…ヒヤヒヤ)講師の方は「あなたいくつ?23歳?じゃあお父さんでもおかしくないね。僕の生き別れた子どもと同い年だ。」と仰っていたので、かわいい子が怒られなくてよかった…と、安堵すると同時に(2、23歳⁉︎わたしだってあなたを産めるわよ)と驚愕、ヒヤヒヤさせられたのは自分だった。
 二次会の店へ移動しながら一次会ではほとんど話せなかった青年と話ができた。彼は歌集編集ワークショップでの4ヶ月間、だいたいいつもとなりの椅子に座っていたのに結局その時は話せなかった方だ。でも、いつもわたしの左隣りで講義を真剣に聴いている姿をわたしの左半身は知っている。
 歌集編集ワークショップ最終日にしてようやくコミュニケーションが取れ始めているぞ、俺。鼻の穴がふくらむぜ。いや、遅いねん。わかってるわ。

 さて、二次会の会場は中華だった。わたしはもうお腹いっぱい胸いっぱいで何も食べられないぞ、添え物のきゅうりすら無理よ、別に食べんでもいいのか。紹興酒飲んでもいいのかな…ダメダメダメダメ、引かれる可能性しかない。ハイボールだ。今日はもうハイボールしか勝たん。などと考えながら案内されて向かった席はそう、あの円卓だったのだ。円卓は正義。顔が見渡せるので喋りやすい。いける。たぶん。知らんけど。


 二次会もほとんどの方が参加されていたので②円卓に分かれた。なんとなく、一次会の時にテーブルが離れていて話せなかった人たち同士で座る。 わたしの左隣りには、先ほど二次会までの道を一緒に歩いてくれた、講義の時にだいたい左隣りに座っていた青年。偶然にもまた左隣り!「講義の時と同じ並びですね」と言おうかと思ったが気持ち悪がられるといけないので、2、3回首を縦に振りサインを送る。もちろんバレないように、だ。
 右隣りの青年は、ワークショップでいよいよ歌集の制作が始まった頃にわたしが提出した初稿に対しての感想をくれた方だった。実はあの時、その方が現役の書店員さんということはわかっていて、お名前もたぶんわかっていたんだけど、なんせ全く話したこともなかったし、席も毎回離れていたので、もしも名前が間違っていたら失礼だから名前を呼べない…どうしよう…と思っていた。我々受講生は毎回必ず自分の名前を書いた札を首からぶら下げているので、それを見れば名前はわかるんだけど、書店員さんの名札はいつもだいたい裏返っているのだ。そこには“D“と書かれている。これは講義の中でグループディスカッションみたいなものがあった時に作られたグループのナンバーだ。ちなみにわたしは“B“だった。せっかく話しかけてくださって感想までいただいているのに、わたしは(名札よ〜裏返れ〜名札よ〜Dはいらん〜)と祈っていたのと、急に話しかけられて舞い上がってしまったのとで、あの時どんな感想をくださったのか全然思い出せない。そして最終日まで毎回名札はDのまま裏返ることはなかったけど、結果的には自分が覚えていた書店員さんのお名前も間違えてはいなかった。
よかったね、わたし。ハイボールください。

話がどんどん脱線している…次こそ二次会へつづく。