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第2話:大きなつづらを選ぶ人

舌切り雀という昔ばなしを覚えているだろうか?

あるところに優しいおじいさんと、強欲で意地悪なおばあさんの夫婦が住んでおり、ケガした雀をおじいさんが助け、懐いた雀がおばあさんが障子を貼り替えている時に糊を食べ、怒ったおばあさんが雀の舌を切って追い出し、おじいさんが探しに行ったところ雀の宿にたどり着く。おじいさんは丁寧におもてなしされ、最後にお土産に「大きなつづらと小さなつづら、どちらがいいですか?」と聞かれる。欲のないおじいさんは小さなつづらを選んで、持って帰ると、中には金銀財宝が。それを見たおばあさんも雀の宿に行き、嬉々として大きなつづらを持って帰る。すると中から化け物が大量に飛び出してきたという。

これは一言でサマれる。「強欲と無慈悲な行いはやめましょう!」だ。

でも、幼い頃から気になっていることがある。

スズメ、おじいさんのことも試してないか?

おじいさんが大きいつづら選んだら…と想定すると、仄暗い話に思えるので、あんまり舌切り雀は好きではない。

ただ、このおばあさんみたいなタイプは、婚活にも必ず登場する。

2000円を得て、色々失った人の話

その昔、友達の友達の紹介でお会いした方が、超一流の銀行勤めの方だった。会話も何とか続き、紹介者の方が別件で一瞬外した時にお会計が来た。

「じゃあ、男性5000円、女性4000円ね。」

割り勘に関しては、たくさん飲み食いした方がちょい大目に払うくらいで別に良いかなと思っている。別に金額は問題じゃなかった。

その人は、請求金額を無造作に置いた。

どう見ても、集金が2000円多い。

「じゃあ、お会計してくるから」とレジに向かってしまった。そこへ、紹介してくれた方が現れ、帰りのエレベーターで「ほんとごめん!」と言って1000円ずつ女性陣に渡してくれた行為で気づいた。

彼が言いたかったのは

「男性5000円、女性4000円…俺への戻り2000円っと」

だった。

何だそのキャッシュバック…!!!!

あと、お前!銀行員でそれやる????

その瞬間、たった2000円を得る行為で色んなものを失ったと思う。

・紹介者のメンツと信頼

→圧倒的に顔に泥を塗りすぎてる。

・女性からの今後も仲良くしようという気持ち

→どケチ過ぎて引く。

・銀行員としての社会的信頼

→え?日常的にこんなことしてたら、こいつ横領したり普通にするんじゃないの?出世するしないより、犯罪起こしそうなことが無理。

特に最後の1つはキツい。結婚後も仕事を続けてくれるような女性だったら、絶対に無理だ。

私もお友達も紹介者の方も、それなりにショックを受けてその夜が終わった。

割り勘に関しては、女性は別の形で現れる。

「奢ってもらわないと死ぬ病にかかった女」だ。

そこに関係値とかもなく、いい思いはしたい!ただし、奢ってもらわないとならない!という考え方をする人達のことを言う。

これも、3つの信頼を失っていると思う。

・自分と他人のものの区別がついていない。

→良いと思うのは自分軸ではないのか。

・身の丈に合った生活が出来ない。

→生活水準が上がったら下げるのは大変。

・見返りを求められる危機管理ができていない。

→その引き換えは若さやあれやこれやだ。

やれ、女子力が低いとか、派手な美人ならそんなこと言わないとか言われたり、奢りじゃなかったから大事にされてないと悲しんでる様子に驚いたこともあるが、そんな女子力にはあんまりこだわりはなく、別に構わない。

ご馳走になったら、本当にありがとう!と感謝は伝える。

でも、奢られるかどうかで自分の価値が変わるなんてことはないのだ。

そのため、先のどうしても小銭を得ようとする男性同様に、奢られないと死ぬ病は、目の前の数千〜数万円で、もっと大きなものを失っているのかなと思う。

どうやら、現代では、大きなつづらを選ぶと、社会的な信頼を失うというお化けが出るようなので、気をつけたい。






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