今朝、あれこれ思ったこと

今回の国際イベントに関する騒動について、思ったことについてまとめてみる。

私のスタンスは以下の通り
・O氏とK氏を混同してはならない
・K氏は国際イベントのDとしての器かは疑問だが、記事には不足・問題がある
・そもそもなぜこの時期なのかを考えると闇

まず、今日の速報の前から大炎上していたO氏について、おそらく周辺情報も含めて10本くらい記事を読んだ。この記事をわざわざ読みに来るほどの暇人、あるいは情熱家であれば説明は不要だろうが、障碍者いじめを自慢するような記事が見つかり、世界に発信する人間として相応しくないとして大炎上したのである。一方、今回のK氏については、同様に過去のアーカイブを漁っていくと、国際的な人種差別問題をネタの一部として使っていたことが問題となった。結果、彼の功績は一切度外視され、ひたすらに「人種差別主義者」というレッテルを貼られるに至ったのである。
さて、世間にはこの2つを同義で扱っている人が多い印象を受けるが、果たして本当にそうなのだろうか?私はそこに違和感を抱いている。
まずはO氏の件について考えてみる。O氏は小学校で障碍を持っているという理由でいじめを行い、文集で報復されたためにその後さらにエスカレートしたという。私は一応教育に関わっている人間であるが、「いじめ」という言葉ほど自体を矮小化、形骸化するものはないと思っている。やっていることは犯罪である。暴行や器物破損など、罪名がつく行為を「いじめ」という中身の見えない3文字に押し込めてしまい、見えなくするのは被害者の救済とは最もかけ離れた行為である。そして前述の通り私は10本近く記事を見たものの、O氏はその後謝罪や賠償といった被害者に対して反省の意と誠意を見せたという情報はなかったことだから、「反省している」と本人および第三者が言ったところで信用されないのも当然であろう。彼が辞任に追い込まれたのに異論はない。
異論があるのはK氏についてのほうである。おそらくO氏の報道を受けて他にも「叩ける」素材はないかと漁った結果、K氏の過去の動画にたどり着いたのだろう。(ちなみにいくつかの報道には動画リンクが貼られていたが、おそらく違法アップロードである。それを紹介する時点で犯罪であるという自覚はあるのだろうか)K氏はインタビュー記事ではなく、コントの動画が問題視されたわけであるが、これをもって「人種差別主義者」と認定するのはいかがなものだろうか。
まず、O氏とは違い、K氏は特定の誰かを攻撃したわけではない。今回批判している人々のコメントにも「犯罪」というワードがないことを考えても、この問題は「犯罪」ではなく「モラル」の問題として認識されているはずだ。では、その中身について考えていくと、問題となっているのは「クレイジーな性格の人物たち」がなぜかテレビに起用されていて、「企画の一案として出した」ら「Pに怒られた」という流れである。最初からその発言が「クレイジー」であるからこそ、観客はその言動が本気ではないこともわかっているし、直後に怒られたという情報からもK氏に常識がない、という批判はまず成り立たない。
もちろん民族的な問題であるから非常にセンシティブであることは承知の上であるし、話題に上げるだけでも烈火の如く捲し立てる方々がいるのも承知しているが、お笑いの一部には「ブラックジョーク」というのが存在していることについては頭の片隅に置く必要がある。ブラックジョークは通常であれば空気が凍ってしまうような、不謹慎な言動で笑いを取るものであり、不謹慎である以上、好き嫌いが大きく分かれ、賛否が起こる手法である。しかし、それはあくまで笑いの「手法」の一つであり、そこに個人の主義主張が必ず入るとは言えないのである。また、これはたった1回の公演の中でされたものではなく、VHS化されているのだから、もし本当にその意図での台詞だったのならば、当時の時点でもカットされたはずである。このことを考慮しても、ブラックジョークの域を超えるものではないだろう。
Twitter上ではこの件について問題視している人々へのカウンターとして、過去の出演者についての言及があった。人種差別の主導者の格好をして活動していた時期のある人物が起用されたときには何も言われなかったのに、ワードを出したらアウト、という線引きについては、私も非常に納得がいかない。もしもこの文章を読んでくれている暇人の中にご意見があれば、ぜひご教示いただきたい。
ともかく、O氏とK氏の取り上げた箇所も、問題点も違うため、同列に扱うべきではないのである。

さて、K氏を批判するコメントの中に、「どうしてただのお笑い芸人が」という論調がいくつか見られるが、「ただの」という表現についてはぜひ改めていいただきたい。ネット記事には「元お笑い芸人」としか書いていないのだから、そのように勘違いするのは仕方がないのだが、K氏は「絵本作家」であり、「舞台俳優」であり、「脚本家」であり、「演出家」である。特に演者としての最後の数年はK氏自身が作演出した舞台での活動が主であった。さらにK氏はその活動の中でパリ公演を行うなど、国外での活動も実績に含まれていることを考えると、「ただの」という表現はそれらの実績を一切見ていないとしか断じ得ない。批判するなら、その人をある程度知ってから叩くべきである。
ただし、K氏は超大人数でのイベントの主催や演出はしていないような印象があるため、今回の抜擢については疑問が残るのも事実である。コメントの多くに「身内採用」といった表現が見られたが、本当にそうなら残念だと思うし、今回の騒動でおそらく二度と国際的なイベントには関われない(関わらない)と思われるのが非常に悔やまれる。

ところで、この一連の騒動であるが、なぜ「今」なのだろうか?私からするとここが非常に気持ち悪い部分である。
今回のスタッフ発表は15日に行われた。その直後にO氏の問題が話題に上がったのはわかる。しかしなぜそのタイミングでK氏のほうの問題は浮上しなかったのだろうか?純粋にアーカイブを探すのに手間取ったのだろうか?しかしO氏の記事もK氏の映像もそれぞれ20年近く前のものであるから、その論は微妙だろう。ではO氏が大炎上したことを受けてさらなる炎上を求めてK氏の問題を投げ込んだのだろうか?それとも問題を分割して「絶えず問題が出てくる組織」として印象づけたい誰かがいるのだろうか?…いくら考えても真相は闇の中である。

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