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データで見る、日本の森林。

こんにちは!株式会社このほしです。

秋田県五城目町を拠点に、「森と人をつなぎなおし、資源と経済の循環を生み出す」を掲げ、森林に人々が足を運び、自然の恩恵を享受することで、自然に対する愛着や敬意が育まれ、未来に向けた自然に対するポジティブなアクションが生まれる社会の創造に取り組んでいます。

人と人、人と自然がよりよく共に生きる環境のために、森林資源活用コンサルティングや森林の中の宿泊体験サービス事業などを展開しています。

みなさまこんにちは。はじめまして!
森林に興味を抱き、2024年春から株式会社このほしの学生インターンとなりました、板井と申します!

私は小さい頃から、環境や森林についてなんとなく興味はあったものの、具体的に日本の森林・林業がどのような状況になっているかは知りませんでした。

そんな私が、森林の現状について少しでも学ぶために読んだ「令和4年度 森林・林業白書」の内容を中心に、自分の頭の整理も兼ねて、森林の現状についてまとめてみたいと思います。


はじめに

突然ですが、日本の国土の大半を占めるものは何かご存知でしょうか。 答えは、森林です。 日本は国土全体の7割弱が森林で覆われており、世界的に見ても高い森林率を誇ります。


(※FRA2020データを元に林野庁作成)


世界有数の森林大国、と言っても過言ではありませんね。そんな国の森林の現状について、「面積」と「森林蓄積」という観点で、全体像を掴んでみたいと思います。


「面積」から掴む日本の森林

所有形態別の森林面積
下の円グラフを見ると、日本の私有林割合は6割弱、国公有林の割合は4割強となっています。

(林野庁 H29 森林資源の現況 より)

ちなみに、世界の地域別で見ると、次のようになっています。

(林野庁 FRA2020 メインレポート概要 より)

世界全体での国公有林割合は7割を超えています。
各地域別で見ても、日本のように私有林率が高く、国公有林率が低い地域は珍しいようです。

各地域の森林に対する考え方、林業の状況、政治状況などがぼんやりとにじみ出ているようで、なかなか興味深いデータです。

人工林、天然林の森林面積
日本の森林では、約4割に相当する1020万haが人工林、残りが天然林等となっています。

世界の森林の約93%が天然林であり、残り7%が人工林であることを考えると、日本の人工林比率の高さが伺えます。

その背景には、戦中、戦後復興期の木材需要の高まりにより木が大量に伐採された結果、災害が多発し、全国的に造林運動が活発になったことがあるようです。

また、当時は木材需要、価格共に高かったため、収益を期待して植えたというのも大きな要因でしょう。

また、樹種別での人工林面積構成比率を見てみると、

  • スギが44%

  • ヒノキ25%

  • マツ類が合計26%

  • 広葉樹が3%

となっています。
国土の2割弱の土地にスギ、またはヒノキが生えている状況です。花粉症が国民病と言われるのも納得ですね…

また、針葉樹が人工林として植えられてきた背景には、広葉樹に比べて針葉樹がまっすぐ・早く育つ、軽くて加工が容易などといった特徴を持ち、建築資材としての需要が大きかったことがあるようです。

ここまでで、日本の森林は人工林割合が高く、人工林の約95%は針葉樹で構成されているということが理解いただけたかと思います。
つぎに、「面積」とは別の視点から日本の森林を見てみましょう。


「森林蓄積」から掴む日本の森林

森林蓄積とは、森林を構成する樹木の幹の体積を表す指標です。
下のグラフは、人工林、天然林それぞれについての森林蓄積量を表しています。

人工林、天然林別の森林蓄積の状況
(林野庁 森林資源の現況(令和4年3月31日現在) より)

上のグラフから、日本の森林蓄積は右肩上がりで増加していることがわかります。(1966年から2022年までの期間で、蓄積量は約3倍となっています。)特に、人工林での増加が著しいですね。

一方で、下のグラフからは、森林面積については大きく変化していないことがわかります。

人工林、天然林別の森林面積の推移
(林野庁 森林資源の現況(令和4年3月31日現在) より)

つまり、日本では、森がどんどん密に(面積当たりの木材資源が豊富に)なっている状況にあります。


森林・林業が抱える課題

先ほどの森林蓄積、森林面積の推移データから、日本の森が右肩上がりに密になっているという事がわかりました。

先ほどのデータは、木材資源が豊富になっているという事実を示すとともに、日本の森林が適切に維持管理されていないということも表しています。

つまり、主に戦中・戦後に行われた急速な植林の結果生まれた人工林の間伐・主伐・再造林などのサイクルがうまく回っていないということです。

森林が適切に維持管理されていない結果、例として次のような問題が発生しています。

  • 土砂災害、洪水等の災害の激甚化

  • 水源地としての機能低下

  • 炭素吸収能力の低下

  • 生物多様性の減少

ところで、なぜ上のような様々な問題を防ぐ役割のある森林が、適切に維持管理されないのでしょうか。

その理由は、森を育て、木を切り出し売っても、コストに見合った収益が得られないためです。下の図をご覧ください。


(林野庁 令和2年 林業経営と林業構造の展望② より)


こちらの図は、1haの施業地について、主伐から、造林・保育により次世代の森林を造成するまでにかかる経費・収益を計算したものです。

現状では、補助金を活用した場合でも1haあたり34万円の赤字が出てしまう試算になっています。

このような収益構造のため、どうしても森林の維持のサイクルを回す動機付けが欠如してしまっている状況です。

こうした状況からの脱却を目指し、国、自治体、森林組合、法人などが様々なアプローチでこの問題に立ち向かっています。

おわりに

我々このほしはこの問題に対して、「森林から木材生産以外の価値を創出」することで、地域に新たな資源と経済の循環を生み出すことを目指しています。

事業やサービスの詳細については、別の機会で詳しくご説明させていただければと思います。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

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