その石を、本当はどこに投げたかったのか
夕方、犬のサンポをした。
歩道橋の陰から視線を感じ、振り向くと男の子がひとり立っていた。
校章入りの黄色い帽子をかぶり、ランドセルには交通安全の黄色いカバー。たぶん小学1年生。もうたいぶ暗くなっているのに、ひとりなの? 家に帰る途中かな、と思ったとき、その子の持っているモノがふと目に入り、私は「あっ」と声を上げそうになった。
その小さな手には、手のひらからはみ出すほどの、大きな石が握られていたのだった。
その子の手がゆっくりと肩まで上がり、その目がわたしの犬に向けられた