身体に「大丈夫だよ」とメッセージを伝える

先日、ある会の司会進行を引き受けることになった。人の多いところが苦手、大勢の人の前で話すのも苦手、無理をすると必ず後日頭痛が来るとわかっている。だが今回の件に関しては不思議と「できるかも」「やってみよう」という気持ちが先に立った。完成した進行の原稿を事前に渡されたのも心強かった。
そうは言いつつ、当日、開演時間が迫るにつれ緊張はしてきた。首と肩がどんどんこわばってくる。それと同時に頭がぼんやりして何も感じなくなってきた。痛いのも困るが頭がシャットダウンするのはもっと困る。緊張をゆるめたい。だがほぐそうと意識すると、余計緊張してしまう。
身体を動かしてみたらどうかと思いついた。
太極拳がいいと思った。ただ、舞台袖が狭いので演舞はできない。そこで、太極拳教室の準備体操でよくやっていた「身体を揺らす」というのを試すことにした。
・その場にゆったりと立つ。頭のてっぺんから糸で吊られているように背筋はやわらかく正す。目は開けていても閉じてもいいが閉じた方が「身体の内側に意識を向ける」のがやりやすいかもしれない。
・身体を上下に軽く揺すりはじめる。以下の順番で身体の各部に意識を向け、「**がゆるんだ」「**がゆるんだ」と確かめて行く。
後頭部、側頭部(耳の周り)頭頂、頸椎(七つの関節)肩、腕、肘、手首、手、親指から小指まで
身体の前の部分 鎖骨から肋骨 後ろに回って肩甲骨(背中から自由にする)胸椎(十二の関節)腰椎(五つの関節)仙骨から尾骨まで
股関節、膝、脛、足、足の指の親指から小指まで
・足の裏まで確かめたら、両てのひらを鳩尾のあたりに重ね、内臓の動きを感じとる。内臓が水に浮かんでいるところをイメージし、静かに揺れを収めてゆく。最後に手は横から(脇腹のところをさするようにして)降ろして、終わる。
一連の動きをしおおせた後は、頭に上っていた気が胸から腹まで下りてきたようで、いくらか落ち着きを取り戻せたように感じた。原稿の文字も目に入ってきた。
当日は無事役割を果たすことができ、めずらしいことに後日頭痛も起きなかった。これは偶然だろうか、それとも太極拳のおかげだろうか?わたしは動きということばで、自分の身体に「大丈夫だよ」というメッセージを伝えることに成功したのだろうか?

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