小さな茶話会に行った話(2)

その茶話会すなわち自助グループは、同じ病気(統合失調症)で通院・入院しているこどもさんのいる母親の集まりだった。ちょうどわたしの母くらいか、少し年上のひとたちだった。彼女たちははじめて参加したわたしにとても穏やかに接してくれた。
それぞれ、こどもさんの近況も話し合っていたけれど、むしろ井戸端会議のような話の方が多かったように思う。おかずの作り方とか、気分転換に近場に出かけてきたことなど。
その場で聞いたことばで今でも印象に残っているのは、
「こどもが病気になってから過ごした年月が、病気になる前の年月を上回った頃から、本人も家族もいろんなことを受け入れやすくなって、楽になってきた」という話だった。
彼女と家族がくぐり抜けてきた体験に裏打ちされてずっしりと重いことばだった。そして、そのことばを自分のケースにあてはめて考えた時、わたしは打ちのめされてしまった。当時母は病名がついたばかりで、まだ病を受け容れていなかった。母の「年月」は、はじまったばかりだった。
結局数えるほどしか参加できないままそこから離れてしまったが、声をかけてくれたソーシャルワーカーさんや、グループ参加者の女性たちには感謝している。そこに行けば何かがすぐに解決するという場ではないが、踏み込みもせずジャッジもしない、話したくなければただ聞いているだけでいい、そして話したくなればただただ聞いてくれるという穏やな場がこの世界にあるのだということがわかった。

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