もし痛みがなかったら(2)

誰かと話がしたい。歌会で、歌の批評を。意見交換を。あるいはもっと肩の力を抜いて、好きな歌の話を。読んだ本の話を。生活の中で創作を続けていく中で感じていることを。歌や詩にまで育ててやれなかったけれども、ちかっと光って見えた、小さな欠片の話を。
わたしの他にもそう思っている人がいるかもしれない。そういう人と、椅子をまるく並べて話をしてみたい。いろんな考え方を聞いてみたい。言いっぱなし聞きっぱなしでもいいし、誰かの意見に自分の考えをつなげて聞かせてもらってもいい。
「『話す』は『放す』なのよ」と教えてくれた人がいる。話す=放すと肩の荷が下りる。それだけではなく、時にもっと意識の深いところで何かが変化することもある。
もし自分に痛みがなく、気力体力を保ち続けることができるとしたら、自分はそういう場所を作りたい。安全で、安心して話せる場所を。その場に人が集まり、「こんにちは」と挨拶を交わして、椅子に座ってくれるのを待ちたい。その集まりを必要としているのは誰よりもまずわたしだ。

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