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短歌の話をしよう

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愉しみと歌を作りて友一人もしくは二人よろこべば足る  玉城徹 『蒼耳』
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記事一覧

「良い歌」とは何か

この文章を読んでわたしはうれしくなった。どんな歌がよい歌なのか、明確な見分け方を教えても…

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どうやって続けているの?

「社会人として週5日なら週5日働く中で、絵を描いたり詩や文章を書いたりを続けているわけだ…

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与勇輝さんの人形

随分前のこと、「徹子の部屋」のゲストに人形作家の与勇輝さんが招かれたことがあった。与さん…

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開け放した窓(2)

青い鳥はTシャツの胸に描かれて足ふとぶとと地を踏みて立つ 螺旋綴じから一枚ちぎりとるとき…

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開け放した窓

開け放した窓の木枠の黒ずみに十月のひかり斜交ひに射す 部屋ぬちを跳ねまはりつつ戻り来ぬボ…

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大野晋編『古典基礎語辞典』

大野晋編『古典基礎語辞典』*を買えた時はうれしかった。載っていることばの数こそ少な目かも…

十谷あとり
10日前
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せめて肩の力を抜いて、虚心に、ことば通りに読もう

初心の頃は一首一首の歌に期待する気持ちがすごく強かった。何が起きるんだろう、何が書いてあるんだろうと期待して、上からだんだん読み下ろしてゆき、思いがけない表現に出くわしてびっくりしたり、どきどきしたり、美しさに目が眩んだりした。感動した分打ちのめされて、歌を書こうなどとしなければよかったと思ったりした。あるいは期待しすぎて一人勝手に失望することもあった。なんでこの歌はこんな終わり方をするんだろうとか、このことばが違うものだったらいいのにとか、何でこんなに落ち着きはらって終始静

「ない」ということばは、ない

短歌を書こう、学ぼうと結社に入った時は、現代仮名遣いで歌を発表していた。定型にあてはめて…

十谷あとり
2週間前
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珊瑚樹の実の赤

・いやだなと思ふこころの顕れを珊瑚樹の実の赤に見てゐる 先日の歌会に出した拙詠。読者には…

十谷あとり
2週間前
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選歌されたい欲

歌会に参加することに少し慣れてきたら、欲が出てきて、一等を取りたいなと思っていた時期があ…

十谷あとり
2週間前
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レッドカードとイエローカード

歌会から帰ってくるといろんなことを考える。歌そのものについてもそうだし、参加者との対話に…

十谷あとり
3週間前
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『河原荒草』をもう一度読む(4)

そしてこの詩集で一番衝撃を受けたところを。 世の中や親に支配され虐げられて、いやだ、理不…

十谷あとり
4週間前
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『河原荒草』をもう一度読む(3)

まだどうしても気になるところがあるので引用を続ける。 「使い慣れた言語を捨てる」という一…

十谷あとり
1か月前
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ことばの力に運ばれる

文章を書く時も詩を書く時も、どこに着地できるかは書き終わる瞬間までわからない。書き始める時はもちろん何を書こうか(漠然とでも)考えて着手する、そこから書いて、書いて、自分の中の階段を降りてゆく、階段の先は暗い水に続いている、岸壁にある石段のように波の底に。水中に潜る。最初は息をこらえているが、あるところまで来るともう苦しさも感じない。苦しくなくなっても、どう書いたらいいのかはやはりわからない。とにかく考えて考えてことばを探るしかない。 書き終えたものを読み返すとき、(これほ