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命の刻印
まぶしかった緑はもう
すっかり深みを増しています。
時はそこここに印を残しながら
絵巻物のように流れてゆく。
目の前に広がる景色は
土地のものであると同時に
ひとりひとりの心象風景でもあります。
なぜならそこには
極めて個人的な想いが刻印されているからです。
誰も知らない景色がある
その人しか見えない世界がある。
ひとつの景色のようでいて
その実、無数の風景が折り重なっている。
あの日、あの場所に佇んだとき
あなたは何を想っていましたか。
うわの空で走り書きさえ残すことなく
場を去って行きませんでしたか。
それは、実にもったいないことです。
時の印とは
命の刻印に他ならないからです。
時間とは
命そのものでもあるからです。
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