父の形見は二つ目カメラ
数年前から、昔風のカメラが復活していますね。
ちょっとレトロなものが好きで、見た目にこだわる私は、とても嬉しく感じています。
一方で、復刻版とか、昔風のデザインなどではなく、本当にそのまま当時のものを使っている人もいますね。
そういう人のための、昔ながらのフィルムを売っているお店もあります。
以前、恵比寿の町を歩いていて偶然見つけました。
もちろんカメラも置いてあって、・・・見ると、「仲間」がたくさんあるので、びっくりするやら嬉しいやら。
「仲間」というのは、父の形見であるカメラと同じ「二眼レフカメラ」のことをいいます。
これのことです。
これは、MAMIYAというメーカーのもののようです。
C220という型番・・・なんていうと、なんだか詳しいみたいですが、その実、ぜんぜんわかりません。
ご存じの方いらしたら、教えていただきたいな、と思っています。
再度のダイヤルを回すと、ジャバラが伸びていきます。
これで遠くのものにフォーカスするんですね。(ですよね?)
真横から見ると、こんなふうです。
ちょっと蒸気機関車みたいでもある・・・。
椅子の上に、くまちゃんを置いて、カメラをのぞき込んでみました。
こんなふうにして、上からのぞき込んで、そしてシャッターを切ります。
このカメラで父は私の写真を撮りました。
「まりこ、じっとして。こっちをむいてごらん」
そう言う父は、下を向いてばかり。私は、怪訝な顔になります。
そんなわけで、父が撮った私の写真は、とても人には見せられない、変なお顔ばかり。父もきっとがっかりしただろうと思います。
ぼんやりと映し出されたクマのぬいぐるみ。
こうして眺めていると、まるで遙かな過去をのぞき込んでいるみたいな気持ちになります。
このカメラの中に封じ込められた、はるか彼方に過ぎ去った時間。
父は、まだ40代。
男として最も活躍しがいのある壮年の頃だったことに、今更ながら意外の感を抱きます。
落ち着いていて、気品があって、威厳があって、そして、優しかった父。
このカメラのレンズを通して、父は愛しさを込めて私を見つめてくれた。
父を懐かしみたい時、私は、そっとこのカメラをのぞき込んでみるのです。
みなさまからいただくサポートは、主に史料や文献の購入、史跡や人物の取材の際に大切に使わせていただき、素晴らしい日本の歴史と伝統の継承に尽力いたします。