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残心

残心(ざんしん)とは
ものごとの終わり、節目へと
心を向けること。
放った矢が高らかな音を立てながら
的を射貫いた瞬間
もう、次の矢を構えるのではなく
弓を降ろし、しばし的を見つめるという
弓術で使われる言葉です。
残心とは余韻であり、間でもあります。
止めることの出来ない時間を
まるで意図的に止めるかのよう。
決して叶わないと知りながら。
名残惜しいままに離れゆくとき
寂しさゆえに心と心が重なり合います。
それは共に過ごした時間の幸福を
ものがたる瞬間でもあります。
次々と矢継ぎ早に用事を済ませるように
せわしない時を重ねてばかりいては
決して味わうことの出来ない
この静けさを
私は愛します。

写真:魚住心 Leica filmcamera

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