31-2 梅すだれ 御船/木花薫
この頃の家に天井はなく家の上部は柱がむき出しで屋根の裏が見えた状態であった。床に垂直に立てられた通し柱の上部を水平につなぐ横木、差鴨居に板を張り床にして寝泊まりや物置に有効活用したものが厨子二階である。低くて狭いが小さな窓を開けることで換気がなされ、寝るのはもちろん座っている分には十分な空間である。
その二階へ上がるためにかけてある梯子の下へ行くと、お滝は「ご飯炊けたよ」と大きな声で叫んだ。もそもそとお桐が梯子の上に顔を出した。
「上へ持ってこうか?」と訊くと、「下で食べ