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梅すだれ

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恋も仕事も頑張る江戸女子、お千代の物語!ですが現在、猿彦や松之助など天草の隠れキリシタンのストーリーから、雑賀の国の物語が展開中。
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2023年5月の記事一覧

27-1 梅すだれ 紀国雑賀 / 木花薫

墨絵を描かなくなったお滝は寺小屋へ行っても退屈なだけで、また通わなくなった。朝は畑の野菜の世話をして、昼は父ちゃんに見つからない場所をぶらついた。家の裏の竹林を歩いていたが、ある日飯屋の畑へ通じる坂のことを思い出した。「飯屋へは行ってはいけない」と父ちゃんから言われているが、坂くらいならいいだろう。村の人があの坂を下りていくのを見たことがない。誰も通らない道をお滝は下りて行った。

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26-4 梅すだれ 紀国雑賀/木花薫

それからというもの、お滝は寺小屋へ行くのが楽しくなった。墨絵を一日中描けるのだ。ほかの子どもたちが暗唱をしようとご院主の話を聴こうと、お滝はお構いなしに墨絵を描き続けた。ご院主もそんなお滝を咎めることなく、むしろ「境内に咲いている花を描いたらどうや?」と勧めるものだから、お滝は益々墨絵を描くことに熱中できた。

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