30代になったばかりだけど、エンディングノートを書こうと思った話【保存版】

考えてみれば当たり前の話なのですが、人は普通「自分がいつ死ぬか」を知らずに生きています。

場合によっては「縁起でもない」って怒られてしまいそうですが……もし自分が、突然この世を去ってしまうことになったとしたら。

大切な家族や友人とも、「言葉」を交わすことは、まずできなくなってしまうでしょう。

「死んでしまってから何が一番哀しいか」って、「生きていれば伝えられたはずのことを、伝えられなくなってしまうこと」なのではないでしょうか。

実際、この世に生きる多くの方は、突然この世を去ることになります。

予兆のあった病気の場合は、ある程度の「余命宣告」をされて自らの「死」について考え、それに向けた準備をすることができる場合があるかもしれません。

でも突然の病や、不慮の事故や事件に巻き込まれてしまう可能性、それから自然災害などによる命の終わりも「ありえないこと」ではないのです。

そうなったときには、哀しいことに、きっと大切な人と満足に別れを伝えることすらできません。

そして、多くの人はそうなってしまってから、後悔することになってしまう。

生きているときに、もっと素直に気持ちを伝えていたらよかった。
これだけはどうしても、あの人に言っておきたかったのに。

だったらどんなに若くて健康な人だって、その時々の自分なりに、一生懸命「この世に何を遺したいか」について考えておいた方がいいよなぁ……と思ったんですよね。

それに自分の大切な人が、きっとショックを受けるであろう自分の死後に、さらに何かに困ってしまうことがあったりすることも、切ないじゃないですか。

ということで、このnoteは「よし、エンディングノートを準備しておこう!」と思った私が、実際に調べたり準備したり書いたりした情報を、保存版としてまとめておこうと思います。

もしあなたが、「私もやりたい!」と思ってくださったときに、これを開いてみればきっと役立つに違いないことを書き残しておきますね!

おもしろかったら、ぜひ大切な人ともシェアしてみながら、「いざという時のこと」を話し合うきっかけにしていただけたらうれしいです。


■どんな事を書けばいいの?

私がまず考え始めたのは、このことについてでした。

そもそも、最初は「自分の大切な人が、その後も人生を幸せに過ごしてほしいから、そうなったときに伝えたい言葉を形にしておきたいな」という、「手紙(遺言?)」的なものをイメージしていたんです。

でも……よく考えてみると、実はそれ以外にも「現実的な伝達事項」というものが、たくさんあることに気がついたんですよね。

実際に自分がこの世を旅立ってから、誰かに引き継ぎたいことや、誰かが困らないように準備しておく「伝えるべきこと」に、どんなものがあるのかを知らなくてはいけません。

そこで、その2種類の「遺すもの」について、どのようなことを書くといいのか整理しておきたいと思います。

➤遺すもの① 想いとして伝えたいこと

これは、個人的な感覚なので人それぞれかもしれませんが、私にとっての「死」は、この世の「終わり」ではなく「卒業」だと考えているんです。

魂は何度も生まれ変わりを繰り返しながら、一つひとつの「一生(命)」を使ってさまざまなことを学ぶために、転生を繰り返しながら悲喜こもごもなこの世界に来ている、と思うんですよね。

だから、そもそもこの世での「死」は魂的に言ったら、あの世という元いた世界(故郷)に帰るということであって、決して大切な人との「永遠の別れ」ではないんじゃないでしょうか。

だから、途中で投げ出すことなく、生き方さえ間違えずにこの人生を卒業したら……。

きっと、先に卒業した大切な人とも会えるし、お土産話ができると信じています。

だからこそ、もし自分が先に卒業を迎えることになっても、まだこの世界でがんばっている大切な人には、前を向いて幸せに生き抜いてほしいと思うわけです。

自分がいなくなることで、淋しがったり哀しんだりするであろう愛しい人に対して、そうなった時のために、勇気や助けや御守りになるようなメッセージが遺しておけたらいいなって思いませんか?

だって、自分のせいでその人が自分の人生を不幸だと信じ込んだり、絶望してしまったとしたら、切ないじゃありませんか。

普段は面と向かって言えないような、感謝の想いやお詫びの気持ちがある場合は、それをしっかり書き残すことも大切です。

この時に気を付けていただきたいのは、間違っても過去のことに対する恨み言などを書いてしまわないこと。

できるだけ遺される人の心を思いやって、その心が軽くなったり、幸福に包まれたりするようなことを綴るのです。

そうしておけば、もし自分が突然旅立つことになったとしても。

きっと志半ばだとかの「未練」は大なり小なりあるかもしれませんが、大切な人に向けた「想いの伝達方法」があるだけでも、幾分か安心できる気がします。

もちろん、この「想い」の書き方は自由ですから、次にご紹介する実務的な内容を書いたエンディングノート以外に、別なノートや手紙として準備しておいてもよさそうですね。

➤遺すもの② 実務的な伝えるべきこと

続いては、遺された家族が、自分の死後に「これはどうなっているんだろう?」と困ってしまうことがないように、準備をしておいてあげたいことについてです。

また、この内容は亡くなったときばかりでなく、急な入院や財布の紛失などがあった場合などに、必要事項のスムーズな伝達や自身の備忘録としても役立つのでおすすめです。

(※むしろ若い方向けには、「自分が死んだとき」というよりは、このような「いざというとき」という目的でノートを用意しておく方が、幾分現実味があるかもしれませんね)

あとは、いずれ自身が要介護や認知症になってしまった場合、家族に向けた本人の意思表示としても役立つかもしれません。

目的はいろいろありますが、どのような項目があると便利かというのを、書き出せる限り書いておきます。

これから準備されるという方は、ぜひ下記を参考にしてみてくださいね。

書きやすい項目からで大丈夫なので、少しずつでも整理しておけるといいと思います。

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【基本的な個人情報】
生年月日、血液型、出身地、住所(歴代)、本籍、携帯電話番号、勤務先、マイナンバー、運転免許証、健康保険証、住民票コード、パスポート

【資産管理】
預貯金口座、口座自動引き落とし、有価証券などの金融資産、所有している不動産、物品資産(貴金属・骨董品・絵画など)、貸し借りのお金、ローン、クレジットカード、電子マネー、加入している保険、年金、自動車
(※特に負債はしっかりと伝えないと、遺族が相続放棄できるのは亡くなって3ヶ月以内とのこと)

【家族関係】
家族の情報、ペットの情報、親族の情報、親族関係表、家系図、親族の命日、冠婚葬祭の記録

【友人・知人関係】
重要な友人の情報、連絡先の管理先、お世話になっている人の情報、習い事の教室、母校、子どもの学校、利用している業者、自身の顧客、参加している団体・サークル・同窓会、懇意にしているご近所さん

【個人情報や資産の取り扱い】
携帯電話・パソコン・タブレット端末の処理(起動時のパスワードも必要に応じて記載)、ウェブサイトやSNSの扱い、宝物やコレクション、形見分けや寄付

【医療関係】
アレルギー、かかりつけの病院、持病と常用の薬、過去の大病や怪我、病や寿命の告知に関する意思、延命処置の希望、臓器提供と献体の意志

【介護関係】
介護体制の希望、医療や介護のための費用、食べ物のこだわりや好き嫌い、身の回りの希望、心地よく過ごすための情報、趣味、生き物の好き嫌い、好きな音楽・番組・映画、希望したい呼び方、してほしいこととしてほしくないこと

【葬儀・お墓関係】
葬儀に関する希望、お墓の情報と希望、家紋の柄と名称、遺言書の有無と保管情報、遺産分割の希望
(※エンディングノートは法的効力がないので、必要があれば遺言書を作成しましょう)

【生活に関する伝達】
お金の管理、衣食住、学校関係、町内会や管理組合、習い事、パソコンのプロバイダ

【思い出の品】
写真の管理場所、手紙の存在、日記帳やスケジュール帳の処理、御朱印帳や御守りのその後、大切にしていた品物、誰かに受け継ぎたい品物、特別な記念日

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このように、さまざまなエンディングノートを見ながら、必要そうな内容を洗い出していくと、かなりの項目数があるものです。

もちろん、「これは自分には不要だな」という内容もあるでしょうから、自身にとって重要なことだけをピックアップして書いていけば十分です。

あまり最初から完璧に書くことを求めても、かえって筆が進みにくいと思いますから、書きやすいところから着手するといいですね!


■エンディングノートの種類と選び方

続いては、「エンディングノート」の種類や選び方について。

いろいろと探してみると、本当にさまざまな「書き方」「内容」「遺し方」の選択肢があるのだとわかってきました。

私のように、文章を書くことが大好きという人もいれば、できればそんなのは書かずに済めば助かるという人もいるでしょう。

次の項目でザッと選択肢のご紹介をしておきますので、それぞれのニーズに合わせて、一番内容がしっくりくるものや書きやすいものを見つけてみてくださいね。

【市販のエンディングノート】

市販のエンディングノートには多くの種類があるのですが、私は実際にコクヨのものを一冊購入してみました。

これはネット上における口コミ評価も高く、実際にかなり解りやすく整っていて、使いやすい印象がありました。

……というのも、例えば「相続の詳細」や「医療の選択」など、専門知識の薄い人が多そうな項目にはチェックリストなどがあって、並べられた中から選べるようになっているので、「どんな選択肢があるの?」と困ることが少ないからです。

「あっ、これについても書いておかないといけないのか」と、気づかせてもらうことも多くて、実務的な内容を洗い出すのにとっても助かりました。

【スマートフォンアプリ】

近年では、スマートフォンアプリの中にも、手軽にエンディングノートを書いていくことができるものが増えてきました。

若い人にとっては、この方が手軽という方もいるとは思いますが、注意すべきなのはサービスが永続する保証がないということ。

また、データ管理なので消えてしまう恐れがあることや、家族などに見つけてもらうことが難しかったり、それを使いこなせるかどうかの心配があったりするということです。

このようなリスクを踏まえた上で、このようなツールを使って記入を済ませたら、それを紙面として保管・共有できる方法を検討した方がいいかもしれませんね。

【パソコン用ソフト・ツール】

パソコンのソフトやツールでも、同じようにエンディングノートを作成できるものがあるようです。

ただ、ネット接続が必要なものについては、スマートフォンアプリと同様のリスクが存在します。

ちなみに、ウェブ上で見つけた「葬儀ベストネット様」のサイトに、無料で印刷ができる「エンディングノート」がありましたので、ご紹介しておきますね。

自分に必要なページだけを選んで印刷することもできる、とっても親切な設計でした。

エンディングノートを買わなくても、印刷してこれに書きこんでいってもいいですね。

【普通のノートを自由にアレンジ】

この選択肢は、「私は書くことが大好き」と自負している人の中でも、特にこだわりを持って取り組みたい人向けですね。

エンディングノートは「遺言書」と違い、法的な拘束力がない代わりに、本人が自由に、書く内容やスタイルを決めていくことができます。

「遺すもの① 想いとして伝えたいこと」の方が、「遺すもの② 実務的な伝えるべき事」よりも、このスタイルには向いているかもしれません。


――さて、ここまで書いた選択肢の項目を読んで、恐らくお分かりいただけたかもしれませんが、私のおすすめは断然「手書きできるもの」、そして「形として遺せるもの」だと思っています。

面と向かって伝えたとしても、相手に覚えておいてもらうことが難しくて、かといってネット上や電子機器なんかに書いておくのも流出やデータの消失が心配……ということってありますよね。

そんなものこそ、手書きで大切に保管しておきましょう。

「いざという時のものは、ここに全部しまっておくからね」と、秘密の場所だけを伝えておけばいいわけです。

自筆の文章を遺すということは、その人の人柄や温かみを感じられる、という意味でも素敵だと思います。


■エンディングノートの注意点

あとは簡単に、エンディングノートを書くにあたっての注意点を伝えておきましょう。

【数年ごとに見直しや追記をする】

これは、例えば私のように30代なのに準備を始めたいと思った人も、生きていく中でさまざまな状況・心境の変化があるはず。

数年ごとに書いたものを見直すようにしておけば、自分の人生の整理をしながら進んでいくことにも通じます。

随時、訂正や追記を繰り返しながら、そのノートを最終的に、自分の人生の集大成のような存在に育てていけたらいいですよね。

【保管場所や管理方法に気を付ける】

具体的なセキュリティという意味では、パスワードや暗証番号などの重要なものだけは、まとめて同じ場所にしまうのではなく、家族以外は知り得ない別の場所に分けて保管するなどするとよさそうです。

特に、銀行の通帳や印鑑などとは、一緒にしないようにしましょう。

これは、もし盗難があった場合に、とても危ないですからね。

「そこまでしなくていいよ」と言う方も多いかもしれませんが、万が一のことを考えるならば、火災や災害などによる家屋の消失などからノートを守るためには、金庫などにしまっておくと一番安心かもしれません。

【信頼できる家族にだけ存在を伝える】

あなたが書いたエンディングノートを必要とするのは、あなたのとても近しい人だけだと思います。

一番信頼できると思った人にだけ、その存在を伝えておくといいでしょう。

多くても、身近な家族2~3人で十分だと思います。

身内以外は知らなくていい情報が多いはずなので、「本当に必要な時に、最も信頼できる人だけがそれを読むことができる」ような手はずを、整えておくようにしてくださいね。

【人を縛り付ける負の遺産にしない】

大前提として「エンディングノート」というのは、自分がいなくなった後を想定して書いておくものです。

逆に言えば、「あの内容は取り消したい」「あれだけは読まないでほしかった」といったことがないように、間違いのないよう丁寧に書いておくべきです。

決して誰かの心を縛りつけるために書くわけではありませんから、それが誰かの心に十字架を背負わせるような、負の遺産にならぬように心がけてください。

ですから、このノートはそもそも「暗い気持ち」の時には、書かない方が良いと私は思います。

むしろ、清々しい気持ちの時にこそ、人の心を解放するものとして遺す宝物にするつもりで取り組んでみてください。

誰かへの恨み言や、覆せない悪い事実を書くのではなく、誰かへの祝福や感謝を、伝えるものに……。

大切な人への贈り物として、読んだ人の心を軽くしたり温めたりする、善いものを遺せたらいいですよね。


■エンディングノートは人生のメモ帳

自らの旅立ちである「死」を考えるということは、今与えられている「生」について深めることでもあると思います。

神様に「お疲れ様、今回のお勉強はこれでおしまいだよ」と肩を叩かれたら、できる限り心残りなく、軽やかに旅立てるようにしておきたいですよね。

そのための、大切な準備として。

私はどんなに若くても、自分の人生にそれを託したいと思える大切な人が現れたら、エンディングノートを書いておくといいなと、ふと思い今回の記事もまとめてみることにしました。

この一生を、誰かが後から眺めてくれた時に、そこに心地よい残り香があれば素敵なことです。

人生で遺したい「生きた証」はたくさんありますし、この先もいろんな形で、それをたくさん生み出していけたらと思っていますが、その中のひとつにこの「人生のメモ帳」も存在していればいいな……。

私自身も、これから少しずつ、書き進めていきたいなと思っています。

そしていつか、このノートが大切な人の心や生活を救うものになることを夢見て。

あなたもどこかのタイミングで、あなたの大切な人のためにも、エンディングノートについて考えてみてくださいね!


紺野うみ

世の中を少しでも明るくする言葉たちを、心を込めて多くの方に届けていきたいと思います。 紺野うみの活動を応援していただけますと、大変うれしく思います!