わかりやすい文章のむずかしさ
「むずかしいことを、わかりやすい言葉で書きたい」という人がいる。むずかしいことをむずかしい言葉で書くかわかりやすい言葉で書くか、それはどちらがいいとか悪いという話ではない。
書き手が、あるものごとを理解した。その理解の過程をたどり直すように、自分で確認するように書けばいい。「わかりやすそうだけどよくわからない文章」は、わかりやすく理解していない人が嘘をつくからだ。逆も然り。
文章中で使う言葉が難解だろうが易しかろうが、「その人が世界をどう捉えているのか」が表れていたらそれでいい。むずかしい言葉で書く人は、むずかしい言葉で世界を捉えているのだから。
それでも「わかりやすい文章」を書きたいというなら、まず自分自身が本当に「むずかしいことをわかりやすくわかった状態」にならないといけない。「もっとわかりやすく書け」という命令は、「むずかしいことをわかりやすく理解しろ」と言っているに等しい。
だから「わかりやすい文章」を書くのはむずかしいのだ。
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