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“ハレ”だけじゃなく“ケ”の日にも。「Tunjung Brut Sparkling」 Hatten Wines

スパークリングワインを抜栓するのは普通のワインを開けるよりもなんだか特別感がある。仕事で数え切れない本数を扱ってきたけれど、いまだに抜栓する直前はなんとなく気分が高揚する。
それはやっぱりスパークリングワインといえば高級なシャンパーニュを連想するし、泡ものはハレの日のおめでたい席に欠かせないお酒だからだろう。


価格 約Rp.250,000(店舗により差異あり)


Tunjung Brutを一口飲んだ瞬間、思わず「うまっ。」と声が出た。
濃いイエローの色調。レモンピール、洋梨、香ばしいトーストのアロマ。
口の中に広がる酸味とまろやかさはレモンカードを感じさせ、マスカットの華やかな香りがふわっと鼻に抜ける。
フルーティーだけれど軽すぎない。味に奥行きがあって飲みごたえがある。

品種はマスカット サン ヴァリエ/早摘み、コロンバール、プロボリンゴ ビル*。
((*東ジャワの小さな都市Probolinggoから由来。この記事にChasselas Loulouとあるけど、シャスラの亜種?どなたか知ってる方教えて泣))

シャンパーニュと同じトラディショナル方式 <仏:Methode traditionnelle 瓶内二次発酵方。下記参照> で作られており、口に含むとキメ細かい泡がじゅわっと弾けるのも楽しい。(“しゅわ”じゃなくて“じゅわ”。飲んでみてください笑)
品種、製法情報:Hatten Wines


正直少し驚いた。お値段250K /約2,400円 の泡にしっかり複雑味があるなんて。
同じ価格帯のスパークリングワインといえばイタリアのプロセッコ、スペインのカヴァが挙げられるけれど、この二つはもう少し味がシンプルでさっぱり軽やか。

* * *

シャンパーニュが他のスパースリングワインと違う点は価格以外にもいくつもあるが、味覚の上での明確な違いは酸味の質だと思っている。
ワインの味を構成する上で酸味は大切な要素の一つであり、シャンパーニュは他と比較すると圧倒的な酸の量がある。にもかかわらず「すっぱい味」に感じにくいのは、酸味以外にも味と香りの要素が幾重にも重なっているから。
Tunjung Brutの味の雰囲気がシャンパーニュと同じだと言うと言い過ぎな気もするが、通ずるものはあると思う。

もしシャンパーニュをインドネシアで買おうものなら、安いものでも1.5juta /約14,000円 弱。(どの国で買っても高いんですけどね。インドネシアでは余計に高くなりますから。)
そう考えるとTunjung Brutはコストパフォーマンスがとても高いし、カジュアルな味とはいえ約250Kで買うことができるだなんて。
これは満を辞して開けなくとも、一週間頑張ったご褒美くらいの気軽な感じで飲んでしまうのも全然アリではないか。


Methode traditionnelle 瓶内二次発酵法って?

スパークリングワイン醸造方法のひとつ。
簡単に言うと、普通のワインと糖分、酵母を瓶に詰めて蓋をして造る方法。
酵母は糖分を食べてアルコール発酵をするが、その時に排出する二酸化炭素は密閉された瓶の中では逃げ場がなく、少しずつワインの中に溶け込んでいく。
こうして造られるのがシャンパーニュやカヴァで、一度発酵したワインを瓶内で再度発酵させるので「瓶内二次発酵」と呼ばれている。

産地によって熟成期間の違いはあれど、瓶の中で澱/オリ(役目を終えた酵母の沈殿物やワイン成分の結晶)と一緒に寝かせるのでワインにうまみが与えられ、この期間が長ければ長いほどうまみや複雑味は多くなる。

シャンパーニュが高価な理由の一つはこの熟成期間の長さにあり、最低15ヶ月はワイナリーのセラーで熟成させるという規定がある。
期間は生産者ごとでも異なり、銘柄によっては数年〜十数年寝かせてから出荷することも。
他のスパークリングと一線を画す理由はこの他にもたくさんあるのだけれど、グラスに注がれた液体は瓶の中で何年も開けられる瞬間を待っていたかと思うと美味しさもより一層増すわけで、、

‥‥シャンパーニュ愛が溢れすぎたところで、話を今回のワインに戻します。


Tunjung Brut ペアリング

先日のロゼ同様、スパークリングもまたペアリングの守備範囲が広いワイン。
しかし敢えてドンピシャなものを、インドネシアで食べられる料理で挙げるならば。
・Gorengan (Tahu Isiあたり特に合いそう)
・Ayam or Bebek goreng
 →揚げ物にレモンをしぼるイメージで口の中をさっぱりさせてくれる。
・Gado-gado
・Rujak
・Dim sum

インドネシア料理に限らなければ、
・アペリティフ(魚介のマリネ、フレッシュチーズ、シャルキュトリ等)
・揚げ物(天ぷら、フリット)
・ごま油を使った辛くない料理
・フレッシュフルーツ
に、特に良く合うように思います。


とはいえペアリングの楽しみは、自分が美味しいと思った組み合わせを見つけること。
「こんなのと合わせたら美味しかった!」という発見があれば、是非お聞かせいただけると嬉しいです。


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