バッハ・コレギウム・ジャパン 第160回定期演奏会 ≪マタイ受難曲≫
#BCJ の受難節公演、今年もJ.S.バッハの #マタイ受難曲 #BWV244 です。
もう数十年来、聖金曜日に受難曲を聴く生活を送ってきましたが、金曜日に休みを取って長い演奏を聴いて深夜に帰宅するのが体力的にきついので、初めて聖土曜日の公演を選びました。
今回の演奏は、熱血的と言う位に激しいものでした。指揮する #鈴木優人 は、父君である鈴木雅明に比べると、どちらか言えば穏当な演奏ぶりをする印象だったのですが、今回はかなり違いました。その一因には、指揮者自身の思い入れの深さは勿論あると思いますが、今回エヴァンゲリストを務めたベンヤミン・ブルンス(テノール)の影響もあるかも知れません。その力強く明瞭な語り口は、物語の全体を活き活きと色付けしていたように思います。また、今回もステージの中央に鎮座している大型オルガンによる重低音の威力も、確実に音楽のパワーアップに寄与していました。
独唱陣では、加耒徹(バス)の威厳に満ちたイエス役や、アレクサンダー・チャンスと久保法之の二人のカウンターテナーの趣の異なる歌声は、特に印象深かったです。他も、主要独唱者から場面毎に登場する独唱者一人一人に至るまで見事な歌唱で、何とハイレベルな集団なのでしょう。そして合唱としても、悲嘆・強情・怒号・哀悼・等々と変幻自在です。第1部のソプラノ・イン・リピエーノは、いつものようにソプラノとアルトからの数名が担っていて、このスタイルが一番しっくり来ます。
器楽陣では、寺神戸亮と若松夏美の両コンマスによる音楽的にも演奏的にも対照的なヴァイオリン独奏、オーボエ・ダ・カッチャからオーボエへと瞬時に持ち替える三宮正満の妙技、そして最終的に美味しいところを持って行く福沢宏のヴィオラ・ダ・ガンバ等々、見どころ聞かせどころが満載でした。
文字通りの劇的な演奏に、猛烈に引き込まれ続けた充実した3時間強でした。こんな集中力を要する演奏を、3日間も続けて行うなんて、本当に凄い音楽家集団です。
[2024/03/30 #演奏会 #バッハコレギウムジャパン #東京オペラシティ ]