見出し画像

『東家の四兄弟』瀧羽麻子

占い師である父、保険外交員の母、父の仕事を継ごうと努める次男、会社員で社内での立ち位置に迷う三男、就活中の暢気な大学生の四男、そして遠方で距離を置いて暮らす研究者の長男。一見それなりに定常状態を保っていたこの一家ですが、ある頃から連鎖的にじわじわと波風が押し寄せ、家族の関係に揺らぎが生じるのでした。

家族と言えども、互いに言えない事もあれば、抱えている秘密もあり、ちょっとした出来事を発端に、すれ違いが露呈します。この物語では、特に劇的な事件が発生する訳ではなく、ちょっとしたすれ違いが元で、家族間で疑心暗鬼が生じ、肥大化して行きます。

ただ結局は、最後にぼんやりとした大団円を迎えつつ無難に終わってしまい、何となく物足りなさが残りました。期待した程には、深みのある話ではなかったです。

節毎に4つの星からなる星座のような記号が付されていて、これがその節で一人称となる兄弟を示しているのは、面白い試みだと思いました。(その事に最初は気付きませんでしたが。)

[2024/02/07 #読書 #東家の四兄弟 #瀧羽麻子 #祥伝社 ]

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?