編集することを止めてしまったTSUTAYAに悲しみを禁じ得ない
今日は仕事が思いのほか早く落ち着いたので、久しぶりに家で映画でも観ようかと近所のTSUTAYAに行ってきた。
自分の消費行動を振り返ると、TSUTAYAに行くときはだいたい以下の3つの動機を持っているとき。
1. 読んでいるコミックの新刊、それそろレンタル開始したかな?と、ふと思ったとき(キングダム、ワンパンマンなど)
2. 観たいと思っていた映画、そろそろレンタル開始したかな?と、ふと思ったとき
3 思いもよらずヒマを持て余すことになったので、なんとなく
今回は3番に該当する。本当に「なんとなく」TSUTAYAに足を運んだ。実際のところ、自宅で楽しめるDVDなりコミックと出会えることを期待していたんだと思う。
TSUTAYAに入店し、まずは入ってすぐのところにあるコミックレンタルコーナーをぶらぶらし、念のため読んでいるコミックの新刊が出ていないかをチェック。特に気になる作品もなかったため、そのままDVDコーナーに向かう。
入店したのが22:30ごろなので、2時間半を超えるような映画はレンタル対象外。また、今日持て余している時間を潰せればいいだけなのでドラマやシリーズもにも興味なし。90分くらいでサクッと観られる映画を探す。ヒューマンドラマが好きなのでグッド・ウィル・ハンティングやペイフォワード、グラン・トリノ的な映画があったらいいなと思って該当の棚を探す。
ぶらぶらしていること10分、自分が探しているものが全然見つからないことに気づく。たぶん映画コーナーの棚を3周はしたんだけど見つからない。この時、かつてTSUTAYAがやっていた「店員おすすめのヒューマンドラマ◎選」「まずは観るべきアクション映画◎◎」みたいなポップやコーナーがなくなっていることに気づいた。どうやら現在は「洋画/アクション」「洋画/ラブコメディ」みたいなざっくりした分け方のもと、あいうえお順でしか映画を並べていないらしい。
そう言えば、1年前くらいにこのTSUTAYAは棚の編成を変えたんだっけ...と思い出した。1年前よりも明らかに棚の数が増えていて、店に入ると棚からの圧迫感が凄い。おかげで通路も狭くなっているので、リュックを背負ったままだと座って棚の下の映画を物色することもできない。近くに人が来たら避けないといけないのもなんだか忙しない。
そんなこんなでぐるぐると映画コーナーを回っていたけれども、結局観たいと思う映画には出会えなかった。
ただ、せっかく家でDVDを観ると決めたのだから、何も借りずに帰宅するのも抵抗がある。...と、ちょうどこのタイミングで何故か緑のモッズコートを着た織田裕二の顔が頭に浮かび、「久しぶりに踊る大捜査線でも観るか...」とTSUTAYAの検索機に向かう。そこで「おどる」と入力して検索すると踊る大捜査線のドラマや劇場版の一覧が表示された。劇場版2のいかりや長介を観たくなったので2のパネルを選択すると、期待していたものとは異なる画面が表示された。
店内のどの棚に踊る大捜査線2があるのかを知りたかったので、踊る2のある棚の番号などの情報を期待していた。でも、表示されたのはレンタル開始日やレンタルコード、ジャンルなど、どうでもいいものばかり。何か別のボタンを押せばいいのか、といろいろパネルをタップしてみたけれどもそれらしき情報は出ない。何のための検索機なんだ…おれの時間を返してくれ…と失意の内に店内をあとにした。
家に返ってきたから、上記の一連の体験について振り返ってみた。
ちょっとしたヒマを潰したいだけなのだったら家でYouTube動画を観る、テレビをつけるなど他にいくらでも選択肢があった。ただ、さっきはなんとなく「サクッと観られる良さげなヒューマンドラマ」との出会いを期待していたのでTSUTAYAに行った。あと、帰宅してから観たいものを決めるという作業がめんどくさかったので、それがTSUTAYAのぶらぶら体験によって解消されることを期待していた。
自分のなかでは、TSUTAYAの価値は良さげな出会いをつくる力にある。書店にしてもCDショップにしても、やはり店舗がもつ「偶然の出会いをつくる力」はネットがどれだけ進化しようとも価値があると思う。なので、今回近所のTSUTAYAが物量を重視して何の特徴もない棚を編成してしまったことがとても残念。あと、検索機が何の役割も果たしていなかったのがさらに残念。
なんでTSUTAYAはおすすめ映画やCDをコーナー化して提案することを止めてしまったんだろう。CDや映画の棚って、濃淡や凹凸がないのが一番疲れるんだけどな。大学のころはよくTSUTAYAの「まずは押さえておきたい傑作映画100選」的なコーナーから映画借りてたんだけど...残念だ。
レコードにしろ書店にしろ、店舗には、店内を編集するという視点を失ってほしくないなぁ。
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